
国際世論の非難が高まるなか、「リブランディング」を図るミャンマー国軍がイスラエル系カナダ人のロビイスト、アリ・ベンメナシェ氏と200万米ドル(約2億2000万円)でコンサルティング契約を交わした。同氏はジンバブエで独裁者として君臨したロバート・ムガベ前大統領や、スーダンの軍事政権といった悪名高い人物・政府と協働した過去を持つ。
米国のロビー活動を伝える「フォーリン・ロビー・レポート」によると、ベンメナシェ氏率いるディケンズ・アンド・マドソン・カナダ社は「ミャンマー国内の真実を伝えるため、国軍の手助けをしていく」名目で契約。同氏は巨額の契約金とともに、米国による国軍幹部への制裁が解除された場合、ボーナスが支払われることを認めた。政治ニュースメディア「ポリティコ」は、同氏の「報酬は200万ドル」と報じている。
「国軍は米国などに誤解されていると思っており、これらの国々とコミュニケーションを図るために私との契約に至った」。今後は米国のほかサウジアラビアやアラブ首長国連邦、イスラエル、ロシアなどの政府高官と国会議員、国連やアフリカ連合(AU)などの国際機関幹部に働きかけを行っていくという。
国軍によるクーデターを正当化するため、「アウンサンスーチー国家顧問がロヒンギャ族迫害に加担していたことを訴えていく。また、国軍に取り入ろうと彼女が中国と親密になりすぎたことも問題」。
ロイター通信とのインタビューでは、「国軍は中国ではなく、米国や西側諸国と近い関係を築きたい意向を強く持っている。中国の操り人形になるつもりはない」と語った。
国軍の弾圧にかかわらず抗議デモは激化し、多くの市民は命を惜しまぬ抵抗を続けている。この件を問われると、「抗議デモに対処しているのは軍ではなく警察だ。クーデター後の民主主義復活のプロセスを監視するのは、軍が最も適任」。さらに、「抗議デモの広がりは大きなものではない」とも。
ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると、軍事クーデターが起きた2月1日以降、3月15日までに死亡者数は180人を超え、拘束者数は2175人に上るという。
(文:PR Week編集部 翻訳・編集:水野龍哉)