ユニクロは、登山家で現役女子大学生の南谷真鈴さんを「グローバルブランドアンバサダー」として起用した。ファストファッション界大手である同社は、服の提供などを通じてチャレンジを応援するほか、商品開発やCSR活動なども共に行っていくという。
南谷氏は早稲田大学に在籍する現役大学生で、今年5月には日本人最年少(2016年12月7日現在)の19歳でエベレスト登頂に成功した。ユニクロのプレスリリースによると、南谷氏は以前から、同ブランドの衣類の高い機能性を評価し、エベレスト登頂時やトレーニングの際などに愛用してきた「ユニクラー」だったという。父親の転勤で幼いころはマレーシア、上海、香港で生活し、これまでに七大陸最高峰(デナリ、キリマンジャロ、エルブルス、アコンカグア、ヴィンソン・マシフ、コジオスコ)に登頂してきた実績を持つ。
ユニクロの代表取締役会長兼社長、柳井正氏はリリース内で「常に高いチャレンジ精神を持ち、常識にとらわれない挑戦をし続ける南谷さんは、まさにユニクロが目指す姿」とコメント。同社は「LifeWear(ライフウェア)を提供するブランドとして、8月にグローバルキャンペーンを開始したばかりだ。
同社はアジア展開で成功を収めているが、認知度と理解度が低い北米では苦戦が続いている。2006年にニューヨークに出店し、今年9月にはカナダにも進出した。
Campaignの視点:さまざまなブランドのアンバサダーが金銭的な見返りを主眼に置いて就任するケースが多い中で、これまでもユニクロの衣服を愛用してきたという南谷氏の起用は、非常に納得のいくものだ。また南谷氏は、誰もが驚くような偉業を成し遂げていながら、一般の消費者にとって身近に感じられる存在でもある。
アメリカの消費者はこれまで、ユニクロの衣服を「シンプルさ」において評価してきており、機能性についてはあまり注目されてこなかった。過酷な環境下でも快適に過ごすことができる高い機能性は、同社が訴求したいと願ってきたことだろう。南谷氏が実際に着用して登頂を成功させたという点は、それをアピールするために絶好のチャンスといえる。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳、編集:田崎亮子)