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P&G、マーケティング費は今後も増えていく予測
日用消費財大手プロクター&ギャンブル(P&G)は2022年度第1四半期(Q1、7~9月)の決済発表にて、マーケティング費が1億3,000万米ドル増え、総支出額に占める割合が30%になったと述べた。パンデミック前は33%で、同等の水準に戻りつつある。マーケティングの支出は、今後も増え続けるという予想だ。
「デジタル広告を拡大するにつれ、ターゲティングが向上しています」と述べるのは、同社CFOのアンドレ・シュルテン氏。「リーチの量を増やしながら質を高めることができるため、支出増分の一部を相殺することができます」。特に注目されるのはeコマース事業で、グローバルで16%(前年比)成長し、総売上高の14%を占めている。
広告大手もパンデミック前の水準に回復
広告の大手ホールディング会社も四半期の決算を発表した。オムニコムの第3四半期(7~9月)は収益が11.5%増えて34億米ドルとなり、2020年の同期に経験した11.7%減から回復して、2019年の収益(32億米ドル)とほぼ横ばいとなった。特に強さを発揮したのはCRMとプレシジョンマーケティング(精密マーケティング)の分野で、24.3%も伸びた。同社の収益の約半分(53%)を占める広告事業は8.6%成長した。
ピュブリシスの第3四半期(7~9月)も収益が11.2%増(前年同期比)、2019年同期と比べても5%増加した(なお第2四半期には2020年同期比で17.1%増加している)。全ての地域で2桁成長を遂げており、今年度の成長予測を再び上方修正した。アーサー・サドゥーンCEOはCampaignの取材に対し、パンデミック前の2019年は収益は減少し苦戦していたと語る。傘下のエージェンシーが連携する「パワー・オブ・ワン」モデルが機能したことで「危機の中にもかかわらず、衰退していた事業を5%伸ばすことができました」。
マーケティング予算の無駄遣い、防ぐにはブリーフィングの質向上を
ブリーフィングやディレクションがうまく行われなかったために、マーケティング費の3分の1が無駄になっているという。IPA(英国の広告業者団体)が70カ国で1,700名以上を対象に実施した調査で明らかになった。調査に協力したマーケターの69%が再度のブリーフィングを経験している。エージェンシー側の73%も、このことで時間や予算が無駄になり、広告主とエージェンシーの双方にフラストレーションが生じていると回答した。
マーケターの8割が「良いブリーフを書いている」と自認している一方で、これに同意するクリエイティブエージェンシーはわずか10%。マーケターの78%が「自分たちの書いたブリーフには戦略の方向性が明確に記されている」と答えたが、これに賛同するクリエイティブエージェンシーは5%と、両者の意識には大きな隔たりがある。
DXを阻むのは、CMOとCIO/CTOの間にある深い溝
多くの企業にとって喫緊の課題であるデジタルトランスフォーメーション(DX)だが、フォレスター社の調査によると、マーケティングとテクノロジーのリーダーの足並みがそろっていない。多くの企業でDXを中心となって進めるのはCEOや最高技術責任者(CTO)、最高情報責任者(CIO)などで、最高マーケティング責任者(CMO)は意思決定の場に参加していないという。
カルチャーやコミュニケーションの相違が両者の効果的なコラボレーションを阻んできたが、パンデミックによってDXの加速に圧力がかかり、両者が協業を迫られるという前向きな兆候もみられる。
ソースがこぼれても気にならないシャツをプレゼント
バーガーキングが英国で発売した新メニューのプロモーションで、マヨネーズやバーベキューソースが垂れても目立たない派手なシルクシャツのプレゼントキャンペーンを実施中だ。抽選で100名に当たるこのキャンペーンは、アプリ内のクーポンを使って商品を購入するとエントリーできる(英国在住者のみ)。制作はBBHロンドンで、ケイティー・アーリー(ファッションデザイナー)とのコラボレーション。
バーガーキングのブランド&コミュニケーションディレクター、ソコ・ニュネツ氏は「ファンの皆さんには最高の食材を、こぼれることを心配せずに味わってもらい、豪快に汚してもらいたい」と語る。
【お知らせ】
アジア太平洋地域で最も名誉ある広告賞「スパイクスアジア」のエントリーが始まりました。詳しくはこちらをご覧ください。
(文:田崎亮子)