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テレグラムCEO逮捕でブランドセーフティーの議論が再燃
メッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」の創業者のパヴェル・ドゥーロフ氏が8月末にパリの空港で逮捕された。このアプリは独自の暗号技術による秘匿性の高さをアピールしており、月間ユーザーは世界中で9億人を超える。当局によると、同アプリはポルノや詐欺、麻薬密売、組織犯罪、テロ、ネットいじめなどの温床になっており、テレグラムがこれを放置した疑いがあるとしている。
同氏の逮捕によって、X(旧ツイッター)などのプラットフォームでも問題になっていたブランドセーフティーをめぐる議論が再燃している。不適切あるいは有害なコンテンツが表面化するたびに問題になるのは、誰が責任を負うべきなのかという点だ。プラットフォームのせいなのか、創設者のせいなのか、あるいはこのような場で広告を出稿すると決めたブランドの責任なのか? このジレンマは、暗号通信の分野ではさらに複雑となる。コンテンツモデレーション(投稿監視)とプライバシーの線引きも難しい。
膨大なユーザー数を誇るテレグラムはブランドにとって、エンゲージメント構築の機会を提供する一方で、ブランド毀損のリスクもある。効果的なコミュニケーションと、不適切なコンテンツへの広告掲載による悪影響の両方を慎重に見極めることが重要になる。
来年再結成のオアシス、チケット価格高騰でファン怒り
2009年に解散した英ロックバンド「オアシス」が再結成ツアーを2025年夏に行う。再結成をめぐっては、正式な発表を前に数々の噂や憶測が飛び交った。また公式アカウントも26日に「2024年8月27日 午前8時」と書かれたティザー動画を投稿し、話題となっていた。
31日にチケット販売が始まると、長い待機時間やエラーなどにファンから不満の声が上がった。また、チケットマスター(Ticketmaster)がダイナミックプライシングと呼ばれる、需要によって価格が変動する価格設定方式を採用したことで、チケットの価格が高騰。英文化相のリサ・ナンディー氏は、ダイナミックプライシングの透明性と利用について調査する予定だと明らかにし、「アーティストや業界、ファンと協力しながら、転売屋やぼったくりの蔓延を阻止し、適正価格でのチケット販売を保証する公正なシステムを構築できます」とコメントした。
トレードデスク、独自のスマートテレビ向けOSを開発か
トレードデスク(The Trade Desk)がスマートテレビ向けのOSを独自に構築していると、テクノロジーやエンターテインメントに関するニュースレター「ローパス(Lowpass)」が報じた。
同社はロク(Roku)、クロームキャスト(Chromecast)、アップルTV(Apple TV)、ファイヤーTV(Fire TV)などと競合するOSを、複数のハードウェアメーカーに売り込んでおり、競合他社よりも有利な収益分配を保証することで市場シェアの獲得を目指しているという。OSのインターフェースは柔軟なカスタマイズが可能で、既に1社と契約しており、来年にもこのOSを搭載したデバイスが発売される予定とのことだ。トレードデスクはこの件について、コメントを控えている。
スマートテレビ市場は既に競争が激しく、サムスン(Samsung)、LG、ハイセンス(Hisense)も既に独自のOSを提供している。またウォルマート(Walmart)が今年2月に買収を発表したビジオ(Visio)も、この分野に参入予定だ。
ハヴァス、統合PRサービス「ハヴァス レッド」を立ち上げ
ハヴァス ジャパン(Havas Japan)が、統合的なPRサービスを提供するハヴァス レッド ジャパン(Havas Red Japan)を設立した。従来のパブリックリレーションの枠にとらわれない体験価値マーケティングやソーシャルメディア、コンテンツマーケティングなどのサービスを展開していく。マネージングディレクターには北市卓史氏が就任し、日本でのサービス強化を推進していく。
ハヴァス レッドは19カ国に1,300人を超える社員を擁するグローバルPRエージェンシーネットワークで、2023年にはグローバルPRエージェンシー・オブ・ザ・イヤー(主催:Campaign)に選ばれた。
ハヴァス ジャパンCEOのダレル・ネルソン氏は、過去3年間で大きな成長を遂げてきた同社が、ハヴァス レッドの設立で勢いをより加速していくことになると語る。「日本市場におけるハヴァスのサービスの幅を広げるだけでなく、顧客の課題に対してより深く応えていくことができると考えています。世界展開をするハヴァスのグローバルスタンダードに合致しつつ、市場特有のビジネスや文化に対する深い理解に基づいたソリューションを提供していきます」。
北市氏も「グローバルネットワークであるハヴァス レッドの一員となることで、より先進的なサービスを展開できると考えています」とコメント。「日本市場では、既に素晴らしいクライアントとの仕事に恵まれていますが、今回の設立により、さらに良いパートナーシップを築いていけるよう努めてまいります」。
遺伝的がんリスクは早期発見と予防を 豪団体のリブランディング
がんの発症にはさまざまな環境因子が関与するが、遺伝的がんリスク体質も発症の要因の一つとして重要視されている。家庭内で家族の病歴についての率直な会話を促し、早期診断やリスク低減、治療オプションの改善を目指す豪団体「インヘリテッド・キャンサーズ・オーストラリア(Inherited Cancers Australia)」がキャンペーンを実施した。
同団体は「ピンク・ホープ(Pink Hope)」という名称で、遺伝性の乳がんや卵巣がんの啓発や予防を目指して活動を行ってきた。今回団体名を変更したことで、活動の内容がより明確に、そして広範になった。ウェブサイトをリニューアルして検査の情報やオンラインサポート、体験談などを網羅した他、豪州で全国的な屋外広告キャンペーンを展開している。企画・制作はココガン(Cocogun)。
「私たちは知識こそが力だと信じています」と語るのは、同団体のCEOを務めるサラ・パウエル氏だ。「ブランドの見え方が、私たちやコミュニティーのDNAとして継承される知性や自律性、感情を反映したものであることが大切です」。
(文:田崎亮子)