Ryoko Tasaki
2025年2月21日

世界マーケティング短信:ユニリーバのマーケティング費が9億ユーロ増

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:ユニリーバのマーケティング費が9億ユーロ増

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

ユニリーバ、マーケティング費が大幅増

世界最大級の広告主企業であるユニリーバ(Unilever)が2024年第4四半期と通期の決算を発表した。昨年は、ブランドならびにマーケティングの費用を9億ユーロ増やし、売上高に占める割合が「過去10年以上の間で最高水準」に達した。

同社の通期の売上高は608億ユーロで、前年比1.9%増。ブランドならびにマーケティングへの投資は、ベン&ジェリーズ(Ben & Jerry’s)、ダヴ(Dove)、クノール(Knorr)など、同社の売上の75%以上を占める30のパワーブランドに対して集中的に行われた。

CEOのハイン・シューマッハ氏は「ユニリーバを常に高い業績を上げる企業へと変革することに注力し続けた、1年間の有意義な取り組みを反映したもの」とコメント。ブランドへの再投資や強いイノベーション・パイプラインなど2024年に講じた措置によって「今後数年間で私たちが掲げる目標の実現するための体制が整いました」と述べた。

バズフィードがソーシャルメディアを開発中

バズフィード(Buzzfeed)が、新しいソーシャルメディアプラットフォーム「BFアイランド(BF Island)」を立ち上げると発表した。同社CEOのジョナ・ペレッティ氏は、他のプラットフォームに蔓延する「SNARF」に対抗していくと述べる。現在はまだ開発中の段階だが、希望者は早期アクセスを登録できる。

同氏がSNARFと呼ぶのはStakes(利害関係の強調)、Novelty(目新しさを作りだすこと)、Anger(怒り)、Retention(リテンション維持のためのハック)、Fear(恐怖)の略で、これらの要素を含むコンテンツは中毒性が高い。

「ソーシャルメディアの未来は、中毒性でなく創造性とつながりのために設計されるべき。これはバズフィードをより良くしていくということではなく、インターネットの可能性を再考するということです。仲間を見つけて創造性を解き放つことができる、私たちが愛するインターネットを取り戻す時です」。

電通グループが減損を計上 海外事業が厳しい結果に

電通グループが2024年12月期の決算を発表し、売上総利益は前年度比+5.7%、オーガニック成長率は-0.1%だった。2023年には453億円の黒字だったが、2024年は1250億円の営業損失を計上している。

通期のオーガニック成長率を地域別にみると、インターネット広告が好調な日本は+4.0%、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は+2.2%とプラス成長だったが、米州は-4.1%、アジア太平洋(日本を除く)は-7.0%だった。

また、2027年12月期までの中期経営計画も発表した。大きな事業基盤がある日本と米州に集中していく他、各市場の大規模・中規模クライアントへの注力、海外事業ではコアとなるメディア事業とその付加価値の向上などを掲げ、2027年12月期までにオーガニック成長率+4.0%、オペレーティングマージン16~17%の達成を目指す。

商品検索で人気のツールはフェイスブックとユーチューブ

バザーボイス(Bazaarvoice)が7カ国で8000人以上を対象に実施した調査によると、商品の検索やリサーチに最もよく利用されているソーシャルメディアはフェイスブック(Facebook)とユーチューブ(YouTube)だった。インスタグラム(Instagram)、ティックトック(TikTok)、ピンタレスト(Pinterest)が後に続く。若い世代(18~24歳)に目を向けると、好まれているツールはインスタグラムとティックトックだった。

また、ソーシャルメディアで購入まで完了させる消費者の数は、2021年は17%だったが、2024年には31%にまで増加した。とはいえ、買い物を始める場として最も人気なのはオンライン検索(ソーシャルメディアを除く)で32%、続いてオンライン小売/マーケットプレイス(29%)、実店舗(14%)で、ソーシャルメディアは8%だった。

年配世代はオンライン検索や実店舗で商品を調べ始めることが多いのに対し、若い世代はモバイルアプリやソーシャルメディアから始める傾向がある。

そして年齢に関係なく調査対象者の8割以上が、オムニチャネル対応によるオンラインや店頭をまたいだスムーズな購買体験を期待しているという。

丸紅の企業広告にAdoが登場、新曲を初公開

大手総合商社の丸紅が、Adoを起用した企業広告を公開した。ライブ中に新曲「ロックスター」を発表しようとしたところ、落雷で停電に見舞われる。だが観客の拍手やコーラスに支えられ、Adoはパフォーマンスを続ける。

新曲は4月に発売されるベストアルバムに収録される予定。歌詞は、かつて吸音材を貼ったクローゼットの中で楽曲を録音していたAdoがスターになるまでの物語を描いており、何かに挑戦しようとする人々の背中を押すものになっているという。大きな夢の実現のために力を合わせること、そして予期せぬ困難を一緒に克服していくことを、丸紅のスローガン「できないことは、みんなでやろう。」に重ね合わせている。

特設サイトでは、同社のさまざまな事業紹介や、Adoがナレーションを担当したドキュメンタリー動画を公開。また公式Xではメイキング映像や、Adoへのインタビューも掲載している。

 

【お知らせ】

アジア太平洋地域の傑出したマーケターを選ぶCampaign Asia-Pacific主催「パワーリスト2025」の、推薦を3月24日まで受け付けています。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

(文:田崎亮子)
 

提供:
Campaign Japan

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