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リアルイベントや観光などの活性化で広告需要高まる 電通調べ
電通が「2023年 日本の総広告費」を発表した。総広告費は通年で7兆3,167億円(前年比103.0%)で過去最高を更新。上半期はリアルイベントの開催数増加や国内外の観光・旅行の活性化などにより回復がみられた。下半期は猛暑や中東問題などの影響を受けたものの、社会・経済活動の活発化に伴い広告需要が高まった。
媒体別にみると、マスコミ四媒体は2兆3,161億円(同96.6%)で、雑誌広告費(1,163億円、前年比102.0%)とラジオ広告費(1,139億円、同100.9%)は増加したものの、新聞広告費(3,512億円、同95.0%)とテレビメディア広告費(1兆7,347億円、同96.3%)は減少した。インターネット広告費は3兆3,330億円(同107.8%)と堅調に伸長し、総広告費に占める構成比は45.5%に達した。
プロモーションメディア広告費は1兆6,676億円(前年比103.4%)。特に各種イベントの再開や大型化、催事企画の増加により、「イベント・展示・映像ほか」が3,845億円(同128.7%)と大きく増加。大型でインパクトのある企画が増加した交通広告(1,473億円、同108.3%)や屋外広告(2,865億円、同101.5%)でも需要が高まった。
クリエイティブ系が減収のWPP、GroupMは4.9%増と好調
WPPが発表した暫定決算によると、傘下のグローバル総合エージェンシーの収益は98億ポンド(前年比+1.3%)だった。その中のクリエイティブエージェンシー(VML、オグルヴィ、AKQA、ホガース)はテクノロジー業界、小売業、ヘルスケア業界の売上減少が影響して前年比-1.6%、メディアプランニング&バイイングを担うグループエム(GroupM)は前年比+4.9%と好調だった。PRエージェンシーは11.8億ユーロ(前年比+1.4%)、専門エージェンシーは8.7億ポンド(前年比-3.4%)だった。
グループ全体の収益の38%を占める北米は前年比で-2.7%だったが、14%を占める英国は+5.6%、20%を占める西欧は+1.8%、その他の地域(アジア太平洋・南米・アフリカ・中東・中欧・東欧)は+3.7%だった。
ヴァイス・メディア、人員削減と配信停止を発表
昨年5月に破産申請し、昨年6月にフォートレス・インベストメントやソロス・ファンドなど投資ファンドに約3.5億米ドルで買収された米国の新興メディア「ヴァイス・メディア(Vice Media)」が、数百人規模の人員をレイオフし、ウェブサイトでの配信を停止すると発表した。
CEOのブルース・ディクソン氏の社内宛てメモには「ヴァイスのブランドに忠実な、優れたオリジナルコンテンツを制作してきました。しかし、これまでの方法でデジタルコンテンツを配信するのは、もはや費用対効果が高くありません」と記されている。今後は「スタジオモデル」へと完全移行し、大手メディアと提携し、ニュースを含むデジタルコンテンツを配信していくという。
なお、女性向けのライフスタイルメディア「リファイナリー29(Refinery29)」は独立した事業体として存続し、売却先については議論中で今後数週間以内に発表されるとのことだ。
メディア関連でいえば、1月末にCNNフィリピンがニュース提供や番組制作を停止すると発表。ビジネス・インサイダー(Business Insider)、ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)、タイム誌(The Times)も、従業員のレイオフが報じられている。
YSLボーテ、公式インスタのコンテンツ全削除が話題に
イヴ・サンローラン・ボーテ(YSL Beauty)が、公式インスタグラムのコンテンツをすべて消去した。これは新しいキャンペーンに先立つ「ソーシャルメディアのリセット」とのことで、数日後にティザー動画や、デュア・リパ(歌手)を起用した新キャンペーンのコンテンツが投稿されている。
突如としてコンテンツが消えてしまったことについて、ソーシャルメディア上には何らかの不具合を心配する声や、何か新しいことが起こるのかという期待が続々と書き込まれた。
【お知らせ】
Campaign Asia-Pacificがアジア太平洋地域で強い影響力を発揮するマーケターを選出する「パワーリスト2024」の、推薦を3月22日(金)まで受け付けています。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。
(文:田崎亮子)