Ryoko Tasaki
2020年5月08日

世界マーケティング短信:混迷の中でメディア視聴者数が急増

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

(Shutterstock)
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※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

NYタイムズが増収増益

米ニューヨーク・タイムズの1~3月期は売上高4.4億米ドル(前年同期比1%増)、純利益3285万米ドル(同9%増)と増収増益であったことが報じられた。広告収入は15%減少したが、有料読者の獲得や購読料引き上げによって購読料収入が増えたため(同5%増)。ただし、新型コロナウイルスの影響で4~6月期の広告収入は約5割減になる見通しだという。

 

ユーザー大幅増のツイッター、広告収入は伸び悩む

ツイッターも1日当たりユーザー数は1.6億人(前年同期比24%増)に伸び、1~3月期のユーザー数の伸びが過去最大を記録した。だが広告収入は6.8億米ドルで、わずか0.4%の増加であった。3月初旬までは予測通りに推移していたが、世界中で外出が規制・自粛され、数々のイベントがキャンセルされるようになってからは広告収入が27%減(前年同期比)に転じた。一方、フェイスブックの広告収入は17%増と、アナリストの予想を上回った。

 

ディズニー、13期は9割減益

米ウォルト・ディズニー・カンパニーの1~3月期の純利益が、昨年同期比92%減の4.6億万米ドルであることが先日発表された。売上高は180億米ドル(同21%増)、営業利益は24億米ドル(同37%減)であった。

部門別にみていくと、テーマパーク部門の売上高は55.4億米ドル(同10%減)、営業利益は6.4億米ドル(同58%減)。世界6カ所(カリフォルニア、フロリダ、東京、パリ、香港、上海)で運営するテーマパークが休業したことが大きく影響した。上海ディズニーランドは5月11日に、規模を縮小しての営業再開を予定している。

映画部門は、映画館閉鎖や映画公開延期などが影響を及ぼし、売上高25.3億米ドル(同18%増)、営業利益4.6億米ドル(同8%減)。DtoC部門は、売上高41.2億米ドル(前年同期から3.7倍)だったが、営業損益は8.12億米ドルと赤字だった。昨年11月から北米で開始した動画配信サービス「ディズニー+」(今年後半に日本でも展開予定)が開始から5カ月で有料会員が5400万人を超えたものの、同サービスのローンチや、Hulu買収に伴うコストがかさんだ。

 

音楽の視聴傾向に変化

スポティファイのマルコ・ベルトッツィ氏(欧州担当バイスプレジデント)によると、コロナ禍でユーザーの視聴傾向に変化がみられるという。まず視聴する機器がモバイルから、テレビ、スピーカー、ゲーム機器、デスクトップPCといった端末に変わった。

好まれるプレイリストも変化しており、パンデミック当初は新型コロナウイルス関連の情報を放送するポッドキャストが人気だったが、最近では家族、子ども、コメディといったジャンルが人気を集めている。「彼らが何をしているかをよく反映している」とベルトッツィ氏。睡眠、料理、家事、ウェルビーイング、ヨガといったジャンルのプレイリストも人気だとか。

スポティファイの売上の9割は有料会員の課金、残り1割が広告収入によるもの。クリエイティブな広告主の例として同氏が挙げたアムステル(オランダのビール大手)は、海辺のバーやスタンディングバーなどの環境音を集めたプレイリストを公開している。

 

グーグル、悪質な広告27億件をブロック

グーグルは、2019年にブロックした悪質な広告が27億件(毎分あたり5,000件超)に上るとブログで発表した。2018年には23億件だったため、17%増加した計算になる。停止したアカウントは、広告主側が約100万件、サイト運営者側は約120万件。特に目立ったのはフィッシング広告(3,500万件超)で、パスポートを更新しようとする人々の社会保障番号やクレジットカード番号などの取得を目的にしたものが2019年に増えた。不正なクリックの誘導も頻発しているという。


ステイホームは、メリットだらけ!?

家にいれば、生産性向上のために同僚が流すプレイリストを一日中聴かされることも、上司のジョークに愛想笑いさせられることも、ウォーターサーバーの前で世間話を強いられることもない――。「You’re not you when you’re hungry.(ハラが減ってるキミは、いつものキミじゃない。)」というキャッチフレーズを世界各国で展開してきたマースのチョコレートバー「スニッカーズ」が、自宅で過ごすことのポジティブな面をとらえたソーシャルメディア広告をフィリピンで展開している。制作はBBDOゲレロ。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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