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グーグル、フィットビットを買収
米グーグルが、ウェアラブル端末大手「フィットビット(Fitbit)」を買収すると発表した。買収額は21億米ドルで、2014年のネスト・ラボ買収以来、同社の家庭用機器メーカー買収としては最大規模となる。フィットビットは2007年に創業し、フィットネストラッカーの市場を開拓してきた。今回の買収によって、フィットビットが保有していた個人の健康関連データをグーグルの広告事業に用いることはないと、声明内に明記されている。
「IDC(IT専門の調査会社)によると、ウェアラブルテクノロジーは前年比16%で成長しています」と語るのは、チェイルUKのデイビッド・クームス氏(戦略サービス責任者)。不振に悩むモバイルとは対照的だ。「グーグルにはAndroidエコシステム構築のためのプラットフォーム提供の機会が与えられ、フィットビットはウェアラブル端末がさらにスマートになる。両社に利益をもたらすと考えられます」
グーグルのウェアラブル端末というと、めがね型「グーグルグラス」の失敗が記憶に新しい。最近はスマートウォッチ用OS「Wear OS」や健康管理アプリ「Google Fit」の開発に限られていた。
あと一時間、長く睡眠をとろう
健康関連の話題をもう一つ。生命保険大手AIAグループ(本拠地:香港)が今週、睡眠時間をあと一時間長くとろうと促す動画を公開した。子どもに毎朝たたき起こされる両親が、夜更かしをやめることで爽やかな朝を迎える場面に、「目覚めたとき、あなたはどんな人になりたいですか?」と問いかけるフレーズが重なる。同社は以前も「アジアは疲れている」というメッセージの動画を公開している。制作はBBDOシンガポール。
「睡眠を犠牲にすることが成功につながる、という神話をなくしていきたい」と語るのは、AIAグループのCMOであるスチュアート・スペンサー氏。「アジアでは週6日、9時~21時まで働くという考え方が浸透していますが、公衆衛生における最悪の大惨事を招きかねません」。同氏はまた、この問題に真剣に取り組む保険会社は無く、差別化にもつながると確信しているという。
ツイッターで政治的広告が禁止に
ツイッターのジャック・ドーシーCEOが、政治的な広告をグローバルに禁止するとツイートした。「政治的なメッセージは、アカウントが人々によってフォローされ、リツイートされることで、リーチを獲得していくもの」であって、お金で買って獲得するものではない、というのがその理由だ。詳細は11月15日に公表予定で、11月22日から施行される。
この件で、大統領選挙を来年に控えた米国議会では賛否が分かれ、ヒラリー・クリントン氏は「米国および世界中の民主主義のために正しいこと」とツイート。一方、ドナルド・トランプ大統領の選挙対策マネジャーであるブラッド・パースケール氏は「トランプ陣営と保守派を黙らせようとする左派の企て。2020年以降に解禁になったとしても驚かない」と批判した。
ユーチューブ、Eコマース機能を拡充
年末商戦を前にユーチューブが、ホーム画面と検索結果画面にショッピング広告を導入すると発表した。「買い物客の約3分の2が、動画から買い物のアイデアやインスピレーションを得たと回答している」と、ユーチューブの広告担当プロダクトマネジャーであるニッキー・レトケ氏は公式ブログでコメント。今後数カ月中に、動画広告をよりインタラクティブにしていく予定だという。
香港でSNSやアプリの検閲強化
21週連続でデモが実施された香港で、検閲が強化されているようだ。香港高等法院(高等裁判所)は10月末、「暴力的な行為や脅迫の促進、奨励、扇動する」内容がオンライン上で公開されないよう、アプリやプラットフォームを一時差し止めることを認めた。
プライバシーや自由を専門に扱うメディアProPrivacyのレイ・ウォルシュ氏が懸念を示すのは、検閲されるものの対象が広範かつ曖昧なことだ。「抗議活動をなんとか収束させたい当局が暴力を監視・抑制する必要性は理解できます。しかし香港の市民にとっては、オンライン上の自由を脅かす検閲の脅威は、香港に対する中国の影響力の高まりとみなされる可能性が高いのです」
ユニリーバ、ポルノサイトに広告を掲載しないと約束
ポルノサイト「Pornhub」に広告を掲載したことで批判を浴びたユニリーバが、今後はポルノサイトに広告を出稿しないと表明した。同社が2016年に買収を発表したひげ剃りのサブスクリプションサービス「ダラーシェーブクラブ(Dollar Shave Club、以下DSC)」は、同社製品を使えばポルノサイトにあまりアクセスする必要がないという趣旨の広告を掲載していた。
一方、クラフト・ハインツも同サイトに冷凍食品ブランド「Devour」のおいしさを「フードポルノ(おいしそうな食品の写真をSNSに投稿すること)」と表現した広告を掲載していたが、今後の広告掲載の方針については言及していない。
(文:田崎亮子)