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独立系エージェンシーへの激励
ワイデン+ケネディのチェアマンであるデイビッド・ルアー氏が21日、シンガポールで開催された「ワールドワイド・パートナーズ・グローバル・サミット」に登壇し、独立系エージェンシーならではの強みについて語った。「常に利益を追い求めるタイプのエージェンシー(その多くは持ち株会社)は今、企業買収に浮かれ立っています。優れたエージェンシーを買収しても、彼らの独立性が損なわれるにつれて独特なカルチャーが消え、クリエイティビティーが失われていく。するとまた別のエージェンシーを買う。利益を出し続けるためには、そのサイクルを繰り返すしかないのです」。また「素晴らしいエージェンシーが次々と買われていますが、5年後にもっと良くなったというエージェンシがありましたか? 私には、どこも思い当たりません」とも指摘する。
だが、広告やマーケティングを取り巻く環境が厳しいのは、独立系であろうと持ち株会社であろうと同じこと。「厳しいことを言いたくはありませんが」と前置きした上で「他の誰かにとっての悲劇は、我々のチャンスになる可能性があります。変革の時代にこそ、我々のような独立系エージェンシーが傑出し、競争に巻き込まれず、マージンを増やし、威信や評判を高めることができるのです」と述べ、そのために必要なポイントを語った。
マスターカード、SessionMを買収
米クレジットカード大手のマスターカードが、セッションM(SessionM、本拠地:米ボストン)を買収した。セッションMは、機械学習を顧客ロイヤルティ向上に活用するテック企業で、コカ・コーラやロレアルなどをクライアントに持つ。マスターカードは、消費者にパーソナライズされた特典をリアルタイムに提供し、顧客との関係をより強固に構築したいと考えており、今回の買収によって「消費者を中心に据えるセッションMの機能が、さまざまなセクターのマーケティング担当者に対して、我々の価値を斬新な方法で高めると期待している」とフランシス・ホンダル氏(マスターカード ロイヤルティ&エンゲージメント担当プレジデント)はコメント。同社がロイヤルティ向上を目指して企業を買収したのは今回が初めてではなく、2015年にもアプライド・プレディクティブ・テクノロジーズ(クラウド分析会社)を買収している。
P&G、日本で2桁成長
日用消費財大手のP&Gが、第1四半期(7~9月)の決算を発表した。純売上高は178億米ドル(前年同期比7%増)、純利益は36.2億米ドル(同13%増)であった。化粧品ブランド「SK-II」「オレイ」などを含むビューティー部門が10%増と大幅に増収したが、かみそり「ジレット」などを含むグルーミング部門は今期も低調だった。同社のジョン・メラーCFOによると、すべてのリージョンにおいて売上増を記録し、米国は6%増、日本と中国は2桁成長だったという。
アイソバー、インハウス化の支援サービスを開始
電通イージス・ネットワーク傘下のアイソバーが、クライアントのインハウス化(内製化)を支援するサービス「アクセレレート(Accelerate)」を開始する。ビジネス上の課題に迅速に対応できるよう、クライアントのマーケティングアプローチの再構築をサポートするもので、内製化部隊の立ち上げから定着までを一括して請け負うサービスやコンサルティングサービス、アイソバーのスタッフを常駐させるサービスなどを提供する。同社は既に、国際航空運送協会(スイス)などのインハウス化プロジェクトに携わってきた。
今度はディオールが中国で謝罪を迫られる
ブランドが中国に関する失言・失態について謝罪を迫られるケースが、ここのところ毎週のように続いているが、今度はディオールだ。浙江工商大学(杭州市)で実施したワークショップで、使用した中国地図に台湾が含まれていなかったのだ。この様子が微博(Weibo)で公開され、若いネットユーザーを中心に批判が巻き起こった。ディオールは微博アカウントで、「従業員の不手際」として謝罪した。だが、中国市場を専門に扱う「エマージングコミュニケーションズ」のドメニカ・ディ・リエトCEOは、「謝罪が中国のみに向けられていますが、欧米のSNSでも対処しないと不誠実だとみなされてしまいます」と指摘する。
そもそも、なぜこのような不祥事が相次いで発生するのか。それは多くの企業が「他国で通用するものは中国でも通用するはずだと、西洋のマインドセットで考えてしまうこと」にあるとディ・リエト氏。不十分なローカライゼーションがいかに重大なリスクを抱えているかを、数々の不祥事が明らかにしているという。
(文:田崎亮子)