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米IBM、マーケティングとコミュニケーション部門をリストラ
テクノロジー産業で昨年から大規模なリストラが続いているが、米IBMがコミュニケーションやマーケティングに携わる人員を削減することが明らかになった。マーケティング&コミュニケーション担当シニアバイスプレジデントのジョナサン・アダシェク氏が7分間のミーティングを行い、同部門がリストラの影響を受けることを伝えた。
同社は今年初めの第4四半期決算報告で「労働力の再調整」を行うと発表している。また昨年5月には採用を一時停止し、人事などバックオフィス部門の7,800人分の業務をAIに置き換えるとアービンド・クリシュナCEOが語っていた。
8月にアダシェク氏はPRウィーク(PRWeek)のインタビューに応じ、これまで多くの時間を割かれてきたタスクや管理業務が、AI導入で効率化が進むことで「新しいコンテンツの制作や優れたコミュニケーターになること」に時間を使えるようになると説明した。「会社として、バックオフィスの仕事はAIに置き換えられるだろうと考えています。しかし、これらの業務に従事する人員を解雇するという意味ではありません」。
採用を一時停止している一方で、同社ではAIの開発・保守の人材を募集している。今年1月には「AIに対する需要は加速しており、watsonxおよび生成AI関連のビジネスは第3四半期から第4四半期にかけて約2倍になりました」と発表した。
マーケターの7割が、生成AIへの支出を増やす意向
マーケターの10人中7人が昨年、生成AIを用いたコンテンツ制作への支出を増やしている。また、7割が今年の支出を増やす意向だ。ビリオンダラー・ボーイ(Billion Dollar Boy)が、英米のマーケターやクリエイター、消費者を対象に実施した調査で明らかになった。調査に協力したマーケターの65%が、他のチャネルに充てていた予算から工面すると回答している。
マーケターの92%が、生成AIを使用するクリエイターに仕事を依頼しており、クリエイターの91%もコンテンツ制作にAIを使用したことがあるなど、導入に積極的だ。
AIはクリエイターの経済圏に「ポジティブなディスラプション(破壊的変化)をもたらす」と考えているマーケターは75%、クリエイターは69%だった一方で、消費者は34%と懐疑的だった。
画像を説明する代替テキストのOOHキャンペーン
英王立盲人協会(RNIB)とマレンロウが、オンライン画像を音声で説明する代替テキストの啓発キャンペーンを実施した。
屋外広告で実施されたこの「Alt Alts」キャンペーンは、有名な画像についての説明文のみが記されており、通行人がどのような画像なのかを推測する仕組みになっている。たとえば「裸の若い女性が水面を泳いでいる。滑らかで力の強い生き物が、下から迫ってくるのも知らずに」と、映画『ジョーズ』の画像を文章で説明。その下には「代替テキストは、目の見えない人が絵を思い浮かべるのを助けます」というコピーと共に、QRコードが載っている。
だが、QRコードをスキャンしても画像は表示されない。代わりに出てくるのは、このような文だ。「もし絵をイメージできたならば幸運です。世界の22億人の視覚障碍者にとって、これは簡単なことではありません。投稿するすべての画像に代替テキストを書くことで、視覚障害を持つ人々が全体像を把握することができます」。
(文:田崎亮子)