電通は、2016年の総広告費が前年比101.9%の6兆2,880億円、さらにインターネット広告媒体費が初めて1兆円を超えたと発表した。市場は東日本大震災で大きな打撃を受けたものの、2011年以来、業界は緩やかな拡大を続けている。
電通は今回、五輪開催やインターネット広告の成長が市場を牽引するとの楽観から、前年比101.9%を上回る成長を見込んでいた。しかし、インターネット広告費は増加したものの、消費の低迷や自然災害、テロの脅威、保護主義、将来への漠然とした不安などが、業界全体の成長の足かせとなった。
大方の予想通り、インターネット広告費の伸びが最も大きく、前年比113.0%の1兆3,100億円。特にスマートフォンや動画広告が堅調だった。なお、米国の2016年のインターネット広告費は720億ドル (米eMarketer調べ)となっている。
衛星メディア関連を含むマスコミ四媒体全体の広告費は、前年比99.6%と微減。テレビメディア広告費(同101.7%)は多少の増加を示したが、ラジオ広告費(同102.5%)の躍進は驚きだった。雑誌広告費(同91.0%)と新聞広告費(同95.6%)は大きく落ち込んでいる。
業種別広告費に見ると、21業種中9業種で広告費が増加した。電力自由化関連の需要により「エネルギー・素材・機械」セクターの支出が前年比141.0%と、最も拡大。続いて「家電・AV機器」セクターが、理容や美容家電、冷蔵庫、4Kテレビなどへの広告費の投下で同109.7%となった。
広告費が減少した業種は、腕時計、デジタルカメラ、ファッション、自動車、飲料・嗜好品など。調査はさらに「交通・レジャー(スポーツクラブ、鉄道、外資系航空会社)」、「各種サービス(エステティックサロン、男性用かつら)」、「金融・保険」などの広告費が微減していることも明らかにしている。