サンフランシスコのアドテク企業ギンザマーケッツ(Ginzamarkets)は、東京を拠点に東南アジアでも事業を展開するインフルエンサーマーケティングのコンサルティング企業ウィズフルエンス(Withfluence)を完全子会社化すると発表した。
ウィズフルエンスはインフルエンサーを利用したキャンペーンの展開や分析データの提供を行い、東京のほかタイやベトナム、シンガポールにも拠点を持つ。一方、ギンザマーケッツはSEO(検索エンジン最適化)のインハウス化支援ツール「ギンザメトリックス(GinzaMetrics)」を提供、アジアでの展開を目指す。
ギンザマーケッツのレイ・グリセルフーバーCEOはCampaignに対し、「インフルエンサーマーケティングは我々のサービスに欠けていた分野」とコメント。今のブランドはインフルエンサーの質よりもリーチ数を重視する傾向があり、「インフルエンサーマーケティングは厳格なデータ分析を欠いています」とも。
ウィズフルエンスの共同創始者である岡本博之CEOは、同社が注力するのは「インフルエンサーの関係性ではなく、テクノロジーとデータ分析」と語る。ウィズフルエンスが目標に掲げるのは、アジア以外の地域での成長。これまで同社はアジアでの事業展開を目指す日本企業と関係を培っており、「ギンザマーケッツの期待に応えられるでしょう」。日本は米国のサービスプロバイダーにとって、「アジアへの玄関口の役割を果たせる」とも。
「日本のブランドは単にコンテンツや情報を広めるためではなく、より戦略的かつ長期的視点でインフルエンサーを活用している。インフルエンサーマーケティングが成長する環境は整っています」と同氏。
それと同時に、今はインフルエンサーマーケティングの透明性に対する関心が高まっている。今年9月、人気ユーチューバーのヒカルが擬似株式サービス「バリュ(Valu)」との関係を隠し、保有する全株を売却して巨額の利益を手にしたことが判明した。現在米国では、インフルエンサーがブランドとの関係性を公にしない場合、法的責任が問われるようになっている。
「この点でどのようなスタンスを取るべきか、企業は常に迷っています」とグリセルフーバー氏。「我々は透明性を出来る限り確保するよう促しています。ただし、まだ解決されていない課題は多く、状況は変わり続けていくでしょう」。
「スポンサードコンテンツに消費者はもう慣れていますが、バナー広告のようにスキップしてしまうことがしばしばです。企業はどうやって自社コンテンツに関心を持ってもらい、見てもらうかをよく考えねばなりません。インフルエンサーは広告とは違うのです。消費者は理由があって彼らをフォローしています。インフルエンサーを商品のスポークスパーソンだと見なせば、テレビで宣伝する有名人と同じになってしまう。企業はこうした面での透明性を良く理解せねばならないでしょう」
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:岡田藤郎 編集:水野龍哉)