電通グループは2018年のオーガニック成長率を3.4%と発表した。国内は2.1%増、海外本社である電通イージス・ネットワーク(DAN)は4.3%増だった。
調整後営業利益は6.5%減の1532億円。収益は1兆200億円で、売上総利益は9326億8000万円だった。
オーガニック成長率はオムニコムグループ(2.6%)やピュブリシスグループ(0.1%)を上回ったが、インターパブリックグループ(5.5%)を下回った。
調整後営業利益の減少は国内における「労働環境改革のための費用増」と、海外における「企業基盤整備を目的としたIT費用の増加」が要因としている。第4四半期で最も大きな成長を遂げたのは欧州・中東及びアフリカ(EMEA)で、過去3年間の四半期成長率でも最高を記録。日本を含めたアジア太平洋(APEC)は中国と豪州での不振が影響し、オーガニック成長率は2018年で1.7%減、第4四半期で9.6%減だった。
電通は「2018年の改革目標を達成し、更なる変革を続ける」としている。
山本敏博・代表取締役執行役員は声明の中で、「広範な改革と成長へのプロセスが明確となり、その取り組みが前進したことで2019年は新たなステージとなる」と述べた。
DANのティム・アンドレーCEO兼取締役会議長は昨年のインタビューで、サステナビリティと競争力維持のためネットワークの再構築を計画していることを示唆。それを裏付けるように今月、グローバルな組織の改革に定評のある元UBSの銀行マンを事業運営のヘッドに任命した。
DANはこの人事が「一貫して業務やプロセスの簡素化を推し進め、説明責任などクライアントへのサービスを強化する」としている。
電通は2019年度の調整後営業利益を2.7%増と予測。国内は1.3%増、海外は4.3%増と見込んでいる。
また、社外取締役・監査等委員の遠山敦子氏が辞任し、新たに3月から明治大学政治経済学部専任教授の勝悦子氏が就任する。同社はかねてから、「透明性とバランス機能を高めるために社外取締役の数を増やす」としていた。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)