トヨタ自動車とトヨタの子会社であるデルフィス、電通グループが資本業務提携契約を締結した。デルフィスによる電通グループへの第三者割当増資が含まれる。2021年1月をめどに、2つの事業会社とそれを統括する持株会社による新体制を発足させる。
トヨタは現在、CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の発展に注力。人々の暮らしを支える様々なモノやサービスが情報でつながっていく時代を見据え、消費者の新たな価値や幸福、ビジネスモデルの創出に取り組む。
新体制ではトヨタのビジネスモデルの変革をスピーディーに推進するため、デルフィスと電通の知見・ノウハウの融合を図る。自動車業界のマーケティングに特化するデルフィスは、販売店を中心としたリテール領域にも強みを持つ。
追求するテーマは、1)消費者から最も信頼されるブランドづくりに向けた、新たなコミュニケーションの革新 2)デジタル社会の進展など、時代の変化を先取りした新たなマーケティングへの変革 3)モビリティ社会でのビジネスへのチャレンジ、の3点。それぞれが自動車メーカーと広告会社の領域を超え、「お客様の状況やニーズなどの情報を正確に把握し、新しいビジネスに展開していくこと、そしてそれを世の中に提案していくことを目指します」(電通ニュースリリースより)。
新体制の株主構成はトヨタが66%、電通グループが34%。
事業会社①はデルフィスの事業を基盤とし、先に挙げた3つのテーマに取り組む。代表取締役に就任するのは長田准氏。事業会社②が目指すのは、リテール領域におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進。デジタルコミュニケーション分野の研究機関として、新たな仕組みとビジネスの創造を図る。
これらを統括し、マーケティング領域の変革に関する戦略的意思決定を行うのが持株会社。事業会社②と共に、山下義行氏が代表取締役に就任する。
(文:水野龍哉)