サステナブルなライフスタイルを消費者に呼びかけるには、クリエイターが最も効果的 −− 食品・日用品大手ユニリーバの調査でこのような結果が出た。
同社は英国のSPO「行動インサイトチーム」と協働、擬似ソーシャルプラットフォームを使って、英米加3カ国の消費者6000人をモニタリング。10人のクリエイターが手掛けたコンテンツを様々なフォームで見せ、その反応を調べた。
調査結果をまとめると;
* サステナブルな生活を実践する上で、「クリエイターの意見を重視する」と答えた人は78%で最多。次いでドキュメンタリー番組、ニュース記事、科学的報告書、公共キャンペーンの順だった。
* サステナビリティに関する助言を求めるのに、「TikTok(ティックトック)とインスタグラムが最適なプラットフォーム」と答えた人は83%だった。
* 米国では、他の2カ国よりもソーシャルメディアの影響力が強かった。
調査では、データや統計に重点を置いた現実を映すコンテンツと、気候変動対策の個人的恩恵を説くコンテンツを見比べてもらう試みも。サステナブルな行動(食べ残しを活用して料理を作ったり、プラスティック容器の包装を拒否したりすること)を促す影響力は、どちらも同程度だった。また、ブランデッドコンテンツとそうでないコンテンツの影響力も同程度だった。
今回の調査目的は、「サステナブルな消費者行動を普及させるために、ブランドはどのようなコンテンツを作ればいいか」(ユニリーバ社プレスリリース)理解を広げるため。
報告書には「消費者行動によって炭素排出量を最大5%削減できる」という、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が昨年発表した文言も記載。また、「気候変動対策の実現は個人の責任ではない」という同社の見解も継承している。
IPCCは、化石燃料企業のプロジェクトを停止する必要性も指摘。これら企業をクライアントに持つPR・広告会社には批判が続いている。
2月、PRウィークが催したパブリックアフェアーズに関する会議で、ユニリーバのコミュニケーション及びコーポレートアフェアーズ部門責任者を務めるポール・マシューズ氏は、「弊社は過去の過ちから学び、業績とブランドパーパスを切り離さずにサステナビリティ問題と取り組んでいる」と語った。
(文:ブランドン・ドアラー 翻訳・編集:水野龍哉)