2月6日にトルコ南部・シリア国境付近で起きた地震の規模はマグニチュード7.8と7.5。23日までの死者数は遂に5万人を超えた。
11日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は国連の第2次救援物資がトルコに届いたとツイート。それでも、「はるかに規模の大きい支援がより迅速に、被害を受けた全地域で行われなければならない」と強調した。
では、世界的ブランドは今回の地震に際してどのような支援を行っているのか。そのいくつかをご紹介する。
クラフトハインツ
食品・飲料大手クラフトハインツのチーフコミュニケーションオフィサー、キャシー・クレンガー氏は、人道支援のために同社が50万ドル(約6500万円)を赤十字社に寄付するとリンクトイン(LinkedIn)に投稿した。
(クレンガー氏の投稿より)
毎朝、トルコ・シリア地震の甚大な被害を伝えるニュースが届きます。現地の壊滅的状況、死者数の多さには戦慄を覚え、己の無力さを感じずにはいられません。皆さんも同じように思っておられるのではないでしょうか。
弊社クラフトハインツ・カンパニーが従業員の助力を得、財政・現地支援を行っていることに大きな誇りを感じます。被害を受けた地域の方々を助けるため、どうかあなたができることを実行してください。
弊社ではクラフトハインツ財団を通し、人道支援として50万ドルを赤十字社に寄付致します。弊社従業員は現地で食料や衛生用品・日用品の調達に奔走しています。またサプライヤーとも協働し、必要な追加支援が迅速に実行できるよう注力しています。
赤十字社はPRウィークに対し、「こうした企業からのメッセージはトルコとシリアで活動する非営利団体を鼓舞し、被災者への支援を活性化する」とコメントした。
クレンガー氏は、「大きな被害を受けた地域の方々を助けるため、あなたができることを実行してください」と呼びかける。
スターバックス
スターバックスは同社及びスターバックス財団、中東でスターバックスの代理店を務めるアルシャヤグループが、緊急援助として複数の非営利団体に合計100万ドルを寄付するとブログに投稿した。
国際赤十字赤新月社を始め、国際救済委員会(IRC)、被災地に温かい食事を提供するシェフの団体「ワールドセントラルキッチン」、恵まれない地域に飲料水を提供する「プラネットウォーターファンデーション」などが対象となる。
スターバックスはトルコで600店舗以上を展開。「弊社パートナー及びその家族のケアが十分に行われるよう、ライセンシー店舗や地域の指導者と密接に協働していく」という声明も発表した。
ボーイング
ボーイングは、従業員から集まった寄付金と同額の50万ドルを米赤十字社に寄付。
ブレンダン・ネルソン社長は、「弊社15万6000人の従業員は困難に直面する被災者の方々とともにあります。援助機関と協働し、助けを必要とする方々にいち早く手を差し伸べられることは、弊社の誇りでもあります」と声明を出した。
ウーバー
配車アプリ・ウーバーは支援策を具体的に発表。その1つが、イスタンブールで使用されるアプリに支援用のオプションを追加することだ。
これは支援物資を寄付したいユーザーが無料でウーバーを利用できるサービス。ウーバーのタクシーが無償で提供者のもとまで行き、物資を受け取って、行政が運営する救援センターまで届ける。
さらに同社は、トルコのNPOアーバップ(Ahbap)に1億ドルを寄付。また、トルコ赤新月社の献血センターにドナーを無料で輸送するサービスも実施する。献血センターはイスタンブールやアンカラ、イズミルなど国内5カ所に設けられている。
企業への信頼
こうした企業による積極的な支援活動は、1月に発表された「エデルマン・トラストバロメーター」2023年版の結果を象徴するものだ。28カ国で実施された今回の調査では、倫理性・社会性のある組織として企業が消費者から最も信頼されていることがわかった(他の対象となった組織は政府、メディア、NGO)。
エデルマンのリチャード・エデルマンCEOは、「企業、特に経営層は引き続き社会問題に対する姿勢を明確にし、関与していくべき」と語っている。
製薬会社の動き
製薬大手ファイザーのアルバート・ブーラ会長兼CEOもリンクトインに投稿、支援策を明らかにした。
(ブーラ氏の投稿)
我々の心はトルコ・シリア地震で被災された方々とともにあります。伝えられる状況は想像を絶するもので、命を絶たれた方々、生活を奪われた方々の報道には胸が張り裂けそうになります。
弊社はつぶさに状況をモニタリングしており、弊社従業員とその家族への支援を行っていきます。またファイザー財団を通して、現地で災害救助を行っている5つの援助団体に同額の寄付を行います。今後も医薬品やワクチンの寄付など、弊社が行える支援を精査し、取り組んでいく所存です。
メルクのロバート・M・デイビス会長兼CEOもリンクトインに投稿。被災した人々や同社従業員の支援のため、「弊社の人材と資金力、組織能力の活用」に腐心していると述べた。
(デイビス氏の投稿)
トルコ・シリア地震の惨劇を伝えるニュースに触れてから、弊社ではいち早く、被災した方々や従業員を支援するため、弊社の人材・資金力、組織能力をどう生かせるか熟慮してきました。
現地従業員の支援、弊社の医薬品とワクチンの提供には昼夜を問わず取り組んでいます。この重大な人道危機に際し、弊社は1万ドルを寄付致しました。またインターナショナル・メディカル・コープス(IMC)と提携し、救援物資や食料、衣類、避難所及び救護施設などを提供しています。
人命尊重、人々の生活向上という理念を持つグローバル企業として、弊社は今回の危機の現状をつぶさにモニタリングし、出来る限りの復旧・復興策に取り組んでいきます。メルクとMSDを代表し、私は被災者の方々への最大限の支援をお約束します。被災者の方々に限りなく寄り添うという我々の気持ちは言葉では十分に伝えられませんが、現状を深く憂慮し、迅速な復旧と被災者の方々の健康・幸せを心から願っていることをお伝えしたいと思います。
(文:ユアン・ラーキン 翻訳・編集:水野龍哉)