ペプシが著名人を起用するのはいつものことだ。数十年にわたり、シンディ・クロフォード、エルトン・ジョン、ビヨンセ、レイ・チャールズ、ブリトニー・スピアーズ、デビッド・ベッカムらがCMでペプシを飲み、ペプシの売り上げに貢献し、そして出演料を受け取ってきた。
今年、スーパーボウルのハーフタイムショーの10年におよぶスポンサーを降りたにもかかわらず、ペプシは、ゲーム中に放映された2つの広告でその存在感を示した。CMで宣伝される商品が本当においしいのか、それとも俳優の演技が巧みなだけなのかを、視聴者に考えさせる広告だ。
「Great Acting or Great Taste?(最高なのは演技、それとも味?)」と題したこのキャンペーンは、俳優のスティーブ・マーティンとベン・スティラーが主役を務め、レイチェル・ドラッチもゲスト出演している。どちらのスポット広告も、ベイナーメディアが、スティーブ・マーティン、ベン・スティラーと共同で制作を手掛け、ジョーマ・タッコン氏が監督を務めた。新しくなったペプシ・ゼロ・シュガーが本当においしいのかが、そのテーマだ。
1本目の60秒CMでは、ベン・スティラーがいくつものドラマチックなシーンを演じ、映画『ズーランダー』でスティラーが演じたキャラクター、デレク・ズーランダーとしても登場する。その後、スティラーが再び本人として画面に現れ、ペプシ・ゼロ・シュガーを一口飲むと、「本当にうまい」と言う。だが、これもただの演技なのだろうか?
2本目のCMも60秒で、こちらではスティーブ・マーティンが、誰もが共感できる日常のさまざまな感情を演じる──フラストレーション、落胆、喜びといったものだ。彼がペプシ・ゼロ・シュガーを飲む様子は、本当に楽しんでいるように感じられる。だが、そう思わせることは俳優としての彼の仕事だ。
ペプシのスーパーボウルのキャンペーンは、ブランドにとって最高の晴れ舞台とも言える場で、広告に対する消費者の不信という難題に真正面から向き合うものとなっている。
「広告が俳優の演技に依存しているというのは、広告カルチャーにおける真実であり、消費者が広告主に対して抱く不信感の根源でもある」と、ペプシの最高マーケティング責任者であるトッド・カプラン氏はCampaign USのインタビューで述べている。「演技という芸術においては、演者は、見る者に何かを信じ込ませることで報酬を得る。この真実は、あらゆる俳優たちが勢ぞろいするスーパーボウルという大舞台で、ひときわ異彩を放つだろう」
視聴者は、マーティンとスティラーのセリフをうのみにするのではなく、実際にペプシ・ゼロ・シュガーを試してみることができる。ペプシは、2月8~14日の期間中、最大1000万本分を対象に、レシート画像とともに電話番号81234に「FREE ZERO」とメッセージを送った人には購入金額を返金すると約束した。このプロモーションは、ドアダッシュやウーバーイーツとも提携し、展開された。
ペプシは、試合前半に放映されたこの2本のCMに加え、試合当日のスーパーボウル・サンデーの24時間、トップ表示されるプロモーションツイートを購入し、ハッシュタグ「#RealorActing」で広告に関する話題を盛り上げた。
ペプシは、スーパーボウルで放映されたこの2本のCMを皮切りに、ペプシ・ゼロ・シュガーに特化したキャンペーンを1年にわたり実施する予定だ。