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人間の偏見を学んだ検索エンジン、フィードバックで改善を
国際試合で最もゴールを決めている選手を検索すると、118ゴールを決めたクリスティアーノ・ロナウド選手の名前が挙がる。だがカナダのクリスティン・シンクレア選手は190得点という記録を持つ。テニスでも、世界ランク1位の在位期間が最も長い人物を検索すると、シュテフィ・グラフ選手でなく、ノヴァク・ジョコビッチ選手という結果になる。
検索は便利だが、必ずしも正確ではなく、人々の偏見を学習して男性アスリートを優先的に表示する――このような事実にスポットを当て、インターネットのアルゴリズムの修正を促すキャンペーンを、レベッカ・ソーデン氏(サッカー元ニュージーランド女子代表)が参加する「Correct The Internet」が立ち上げた。誤った検索結果を見つけたらフィードバックを送信するよう呼びかけており、そのためのツールも公開している。企画・制作はDDBグループ・アテアロア・ニュージーランド。
職場でのがん患者支援、スーパーボウルで認知向上を図る
ピュブリシス・グループの慈善団体は1月に、がん患者の就労を支援する業界横断型のキャンペーン「Working With Cancer」を世界経済フォーラムと共に立ち上げた。ダボス会議開催中の1月17日に、がんを患う従業員をサポートする職場環境の構築を表明する宣誓を発表し、ウォルマート、ペプシコ、ベライゾンなど世界の名だたる企業がこれに参加した。
また、世界がんデー(2月4日)に先立ち開始したキャンペーンを、2月13日のスーパーボウル(アメリカンフットボールの優勝決定戦)でも展開することが明らかになった。ピュブリシスがスーパーボウルのスポット広告枠を買い、ニューヨーク地域にて放送する予定だ。
同グループのアーサー・サドゥンCEOが昨年春にHPV関連のがんと診断されたことが、今回のキャンペーンを立ち上げるきっかけになった。キャンペーン自体は企業に向けたものだが、職場でがんを患う同僚を支えるため一般向けの認知度向上も必要というのが同社の考えだ。
「職場でのソーシャルな変化は、何年もかかって少しずつ起こることが多い」と語るのは、最高戦略責任者のカーラ・セラーノ氏だ。今は、2人に1人が生涯でがんに罹患するという時代。プログラムを作ってシステムをまとめることはできても、人々の意識を啓発しないことには職場の文化に影響を与えることはできないと語る。「そのアイデアを発表するのに、スーパーボウルほど適した場所はありません」。
会員数が順調に増えるスポティファイ、支出削減と効率を重視
音楽配信サービス大手のスポティファイ(Spotify)は第4四半期の決算報告で、過剰な投資を引き締め、効率化を進めていく方針を示した。第4四半期中にプレミアム会員数は当初の予測を上回る2.05億人(前年同期比14%増)に達し、月間アクティブユーザー数は4.89億人となった。
同社は先日、従業員の6%にあたる約600人を削減すること、そしてコンテンツと広告を統括する責任者であったドーン・オストロフ氏が退社することを発表している。同氏はポッドキャスト事業を推進し、コンテンツを40倍に増やす責任を負っていた。広告による収益は全体の14%を占めており、オストロフ氏の業務をアレックス・ノーストロム氏(共同社長ならびに最高ビジネス責任者)が引き継いだことでどのような変化が起こるのか、投資家から質問が寄せられた。これに対してダニエル・エクCEOは「戦略の観点からは、それほど大きく変わらない」とし、マーケティングに加えて広告やコンテンツもノーストロム氏の権限とすると説明した。
また、ポッドキャスト事業は広告収益に寄与するものの、ここへの投資が全体の利益率を圧迫していることを認め、今後は新たなポッドキャストの契約を効率的に結んでいくと語った。「全体的に効率性と、よりレバレッジを効かせていくことにフォーカスしていきます。そして、これはポッドキャストにも当てはまります」。ポッドキャスト戦略に変更はなく、意思決定のスピードアップと効率性を重視していくことを強調した。
【お知らせ】
今年で22年目となる「PRアワード・アジア2023」のエントリー受付が始まりました。早期締切は2月16日、通常締切は3月21日です。詳細はこちら(英語)。
(文:田崎亮子)