
2017年、最も多くのCMに起用されたのはローラと遠藤憲一であることが、ニホンモニターの調査で明らかになった。ローラ(テレビパーソナリティー、ファッションモデル/27歳)は15社、遠藤憲一(俳優、56歳)は12社のCMに起用された。
他にランクインした女性タレントは、広瀬すず、有村架純、綾瀬はるか、高畑充希など。男性側では嵐のメンバーや、錦織圭(テニスプレーヤー)が上位に入った。ランク上位とそれぞれのCM起用社数は、以下のとおり。
【女性タレント】
15社:ローラ
14社:広瀬すず
11社:有村架純
10社:綾瀬はるか、上戸彩、高畑充希、武井咲、波瑠、吉岡里帆、吉田羊
【男性タレント】
12社:遠藤憲一
11社:相葉雅紀(嵐)、錦織圭
10社:二宮和也(嵐)、松本潤(嵐)
9社:櫻井翔(嵐)、DAIGO、西島秀俊、山﨑賢人
世界的にみれば、かなり多いCM起用社数といえるだろう。広告主からすれば「多過ぎる」と映るかもしれない。だが、そこには考慮に入れるべきニュアンスがある。
電通の執行役員でコンテンビジネス・デザイン・センター長の吉崎圭一氏によると、「何本のCMに出演するかを最終的に決めるのはタレント自身」だという。オファーを幅広く受けるタレントもいれば、タレントイメージを守るため出演CMを厳選するタレントもいる。
一人のタレントが何社ものCMに登場すると、視聴者の目は、各社CMでどのように見え方が異なるかに向いてしまいがちだ。それは広告主が望むところではないだろう。
一方で、露出の多いタレントを起用することはブランド側にメリットもあると吉崎氏は言う。重要なのは、タレント自身がそのCMへの出演に違和感を覚えていないかだ。
「ローラや遠藤憲一がこれだけ多くのCMに起用されているのには理由がある」と吉崎氏。「ローラは多くのCMに出演していますが、それぞれに違った表情を見せるのが上手です。実力派俳優の遠藤憲一も、これほど多くのCMに出演しているという印象を与えません」
広告主が起用しやすいのは「自身の立ち居地を理解し、それを明確に表示できるタレント」だと吉崎氏。「俳優のジョージ・クルーニーを例に挙げると、誰も彼のことを、ただ外見がいい男性として捉えませんよね? 彼がどのような性格なのかも含めて考えるはずです。日本にもこのような有名人がいたとしたら、多くのブランドがCM起用を考えると思います」
自身のブランディングに成功した有名人の起用は、ブランドにとっても良い結果をもたらすだろう――吉崎氏はこのように締めくくる。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)