Chris Daniels
2024年8月20日

2028ロサンゼルス五輪に向けて、ブランドは既に動き始めている

パリ五輪の成功に感銘を受けたマーケターは、4年後のロサンゼルス大会に向けた準備に余念がない。

12日にロサンゼルスに到着した五輪旗(写真:Emma McIntyre/Getty Images for LA28)。
12日にロサンゼルスに到着した五輪旗(写真:Emma McIntyre/Getty Images for LA28)。

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

五輪の数々の記録が更新されたパリ大会。記録は、競技場やプール以外の場所でも打ち破られた。複数のエージェンシーによると、クライアントは既に2028年のロサンゼルス大会に向けて契約を結び、戦略を立てたいと熱望しているという。

あらゆる面で、オリンピック熱が再燃している。そして、アクション満載な閉会式でパリからロサンゼルスへの引継ぎが行われ、2028年に夏季五輪が米国の地に戻ってくることに、PRの専門家たちは沸き立っている。

DJEホールディングス傘下のユナイテッド エンターテイメント グループ(United Entertainment Group、以下「UEG」)でスポーツ担当EVPを務めるマイケル・ブラウン氏によると、クライアントが待ち望んでいたパリ大会の成果は「期待通りだった」という。

「次の夏季大会は4年後ですが、すでに複数のクライアントが2028ロス五輪の契約を当社と結び、3年半の計画を練ろうとしています」。

「パリではエッフェル塔の下でビーチバレーボールの試合が行われるなど、ビジュアルが人々を魅了しました。またトム・クルーズがロサンゼルスのシンボルであるハリウッドサインでパフォーマンスを行い、レッド・ホット・チリ・ペッパーズがヴェニスビーチのステージで演奏するなど、リアルライフにつなげた演出を目の当たりにしてきました」と語るのは、マイクワールドワイド(MikeWorldWide)プレジデントのブレット・ワーナー氏だ。「パリで行われたことを、エンターテインメントの中心地として増幅させるビジュアルと会場が、ロサンゼルスにはあります」。

NBCのプラットフォーム全体の視聴率は、2021年の夏季東京大会と比べて82%増と驚異的に上昇した。Xのエンゲージメントは過去最高を記録。大会期間中に英国代表チームと提携したTikTokでは、233,440人のクリエイターが「#オリンピック」のハッシュタグでコンテンツを作成したとのことで、これは東京大会と比べて822%の増加だ。

UEGは国際オリンピック委員会(IOC)のパートナー2社ならびに米国オリンピック・パラリンピック委員会と提携しているが、パリ大会ではほとんど何もしなかったブランドや、アスリートやインフルエンサーのアクティベーションしか行わなかったブランドも関心を示している。

「これらのブランドは『どうすればもっと大々的に参加できるか?』、『経済的にどのような意味があるのか?』、そして『この投資が自分たちにとってどのような効果をもたらし得るのか?』と問いかけています」とブラウン氏。「パリ大会からの勢いや高揚感を考慮すると、今こそ行動を起こしてこれらの質問に取り組み、うまく解決する方法を見つけ出すときです」。

ブランドがこのチャンスに浮かれるのも当然のことだろう。

ニューヨーク・タイムズ紙などはパリ大会を「ソーシャルメディア・オリンピック」と称し、五輪の転換点と評価している。かつて知的財産の使用について非常に慎重だったIOCはパリ大会の前に、特にアスリートのソーシャルメディア投稿に関する規則を緩和。選手がオンラインでペルソナを築き、フォロワーとつながることができるようにした。

NBCのストリーミングプラットフォーム「ピーコック(Peacock)」は、従来のテレビ中継の視聴者を侵食するのではなく、むしろ後押しする結果となった。

「ソーシャルメディアに傾倒しても、生中継の価値を損なうものではないという認識が広まっています」と、スタグウェル傘下のアリソン(Allison)でスポーツマーケティングを担当するシェーン・ウィン氏は語る。「次の五輪では、ブランドにできることに関してもう少し自由度が増し、波及効果がみられると思います。そうなれば、非常に面白い展開になるでしょう」。

バーソン(Burson)のEVPで北米スポーツ担当リーダーのクリス・コンソール氏も同意見だ。

「オンラインへの投稿や会話、やりとりに関して、パリ大会に匹敵するものはありませんでした。スポーツとエンターテインメントの世界的な中心地であるロサンゼルスでどのようになるのかは、想像するしかありません」と同氏。「人々は『大会の視聴や消費をしなければ、ポップカルチャーの話題やみんなが話していることを見逃してしまう』と思うようになるでしょう」。

コンソール氏は「スーパーボウル(NFLの優勝決定戦)の大型版のような感じになるでしょう」と言う。

この例えは、別の理由からも適切といえる。ロサンゼルス大会ではフラッグフットボールが新競技としてデビューし、多くの広告主の注目を集めると予想されるからだ。

アリソンとザ・ハリス・ポール(The Harris Poll)による初のスポーツ・モメンタム・インデックス(Sport Momentum Index)によると、フラッグフットボールは、ファンの間での文化的な流通、エンゲージメント、個人的な関連性という観点で、米国でトップ3に入るスポーツリーグだ。ファンを対象に2月に実施されたこの調査で、米国フラッグフットボール・リーグは、プロ・ピックルボールとプロ女子ホッケーリーグに次ぐ3位にランクインした。

IOCはすでにアシュレア・クラム氏(米フラッグフットボール選手)のプロフィールを掲載するなど、フラッグフットボールのプロモーションを行っている。

「フラッグフットボールは非常にインクルーシブなスポーツであることもあり、世界で最も急成長中のスポーツの一つです」と、ジャスパー・アドバイザーズ(Jasper Advisors)の創設者で共同CEOのジュリー・アンドリーフ・ジェンセン氏は語る。同社はスタッグウェル傘下のSKDKが昨年買収したアドバイザリー会社だ。「フラッグフットボールは新しいファン層の参入を容易にし、それがブランドやスポンサーにとって興味深い機会となっています」。

NFLのワシントン・フットボールチーム(Washington Football Team、現ワシントン・コマンダーズ)の広報担当役員を務めていたジェンセン氏は、リーグが全面的に支援するだろうと予測している。

「フラッグフットボールは、NFLの選手たちが一丸となってスポーツ界最大のグローバルな舞台で戦い、地元の観客の前で米国を代表する素晴らしい機会でもあります」と同氏。「これは選手たちにとって一生に一度の機会であり、NFLと五輪の垣根を越えたユニークなコラボレーションにつながる可能性があります」。

夏季大会から除外されていた野球、ソフトボール、ラクロス、クリケットも、ロス五輪で復活する。

もう一つの特筆すべき点は、米国チームの活躍だ。パリ大会で米国は126個と最も多くのメダルを獲得したが、女子がメダルの67%以上を獲得したことに注目すべきだとワーナー氏は言う。

「パリ大会では女性アスリートが頭角を現し、米国チームの女子(26個)は男子(14個)よりも多くの金メダルを獲得しました」と同氏。「女性スポーツの発展と、全国での女性のスポーツへの参加はロサンゼルス大会に向けた大きなテーマであり、ブランドが次の夏季大会への参加意欲を高めるもう一つの理由でもあります」。

ロス五輪がパリ大会から学ぶべき点は、ハリウッドのセレブリティーを有機的に受け入れることだ。ライアン・ゴズリング、セリーナ・ウィリアムズ、ジョン・レジェンド、クリッシー・テイゲンなどがパリで目撃され、スヌープ・ドッグはNBCの特派員としてスター性を発揮した。

「セレブリティーとの融合はうまくいきました」とコンソール氏。「実際にスヌープがパリ大会での活躍を超えられるかどうかは分かりませんが、彼はカリフォルニアに深いルーツを持ち、NBCも同氏を喜んで起用するでしょう。ブランドはコミュニケーション戦略において、スポーツとエンターテインメントをいかに融合させるかを常に念頭に置く必要があります」。

「シモーネ・バイルズ(体操)であれケイティ・レデッキー(競泳)であれ、真のセレブリティーであるアスリートたちを、セレブリティーたちが観戦していたことが奏功しました」とジェンセン氏。「スポーツ、文化、エンターテインメントが交差する点を理解しているロス五輪にも、同じような機会があります」。

五輪パートナーはロサンゼルス大会に向けて、大会までの間にスポンサーシップのアクティベーションをどのようにしていくか検討する必要がある。

アリソンはAIを搭載した文化的関連性ツール「ブランドガイストIQ(Brandgeist IQ)」を使い、スポンサー21社について2つの期間(4月17日~6月1日と6月2日~7月13日)を比較分析した。その結果、スコアが上昇したのはわずか8社(38%)だった。

「オリンピックが近付くにつれ、一部のスポンサーは存在感が薄くなり、大会が始まる前には目立たなくなりました」と、アリソンの消費者ブランド担当SVPであるモニカ・フィンチ氏は言う。

ブランドガイストのスコアが3.5ポイント上昇したラルフ ローレン(Ralph Lauren)は、4つの主要な柱(ポップカルチャー、パーパス、ディスラプション、インクルージョン)の全てでスコアが上昇した唯一のスポンサーだった。6月にパリ大会の米国チームの衣装を発表した際の報道と、ソーシャルメディアで話題になったことが功を奏した。

しかし、スコアが最も上昇したのは、大会の公式タイムキーパーであるオメガ(Omega、スコアは6.9)と、ナイキ(Nike、スコアは5.25)だった。ナイキはこれまでの五輪よりも多額の予算をパリ大会に投じ、5月には初となるブレイクダンス用のシューズを発表するなど、大会に向けて多くの商品を発売した。両ブランドともラルフ ローレンより高いスコアだったが、これはポップカルチャーやディスラプションといった柱が採点時に重視されたためだ。

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PRWeek

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