AKQAが手がけたオンライン・キャンペーン、「GO LIVE GO RIDE: Harley-Davidson Weekend Ride ― 試乗を超えた最高の体験を」は、週末の2日間でプレミアムな試乗体験を提供するというものだ。
AKQA Tokyoのグループ・クリエイティブ・ディレクター、クラウディア・クリストヴァン氏は、「通常のテストライドでは味わえないハーレーダビッドソンの素晴らしさを、存分に体感してもらう試み」と言う。
その内容は以下の通り。参加希望者は、大型自動二輪免許をもっていることが条件。まずは抽選申込サイトから、バイクで行きたい場所と希望日程を入力してエントリー(3か月のキャンペーン期間中、毎週最多で7人が当選する)。当選者にはハーレーダビッドソン純正のレザージャケットやウェアラブルカメラ「GoPro」などが入ったギフトパックが送られ、次に自分が乗りたいバイクを選ぶと、週末のツーリング・プランをハーレーダビッドソンがサポートしてくれる、という仕組み。
各自の旅はGoProに録画されて後に編集され、プロモーションの一環としてキャンペーン専用のウェブサイトにアップロードされる。キャンペーンの告知はバイク愛好家向けのソーシャル・メディアや出版物を通じて展開。また、人気が高いLine向けに特別仕様のスタンプシリーズも用意した。クリストヴァン氏によれば、キャンペーンの第1週目には600人の申込があったという。
AKQAのビジネス・ディレクター、ダン・イナモト氏は、「これは単なる試乗会ではなく、ハーレーダビッドソンというブランドを若返らせ、新世代のライダーたちを呼び込むキャンペーン」と言う。「ハーレーダビッドソンが日本市場で展開を始めてから長い年月が経ちますが、中高年男性の趣味のブランドと思われているきらいがある。確かにオーナーは40~60代が中心です。ですから自らブランドをリフレッシュさせ、より若い世代に訴求しようというのです」。
大型バイク市場では今でもハーレーダビッドソンが優位を保っているが、競争は激化しており、カワサキやホンダのようなブランドが「より大型のバイクをつくり始め、ハーレーダビッドソンに追いつこうとしている」と同氏。
このキャンペーンで打破すべき課題は二つある。一つは、日本の平均的サラリーマン ― 例え若いサラリーマンであっても ― は仕事や社会のプレッシャーを感じ、自分の夢を実現するのは難しいと考えていること。もう一つは、初心者にとってバイクの世界はとっつきにくいイメージがあること。この二つに共通するのは、多くの潜在的なライダーが何から手をつけたらよいのか、糸口を掴めていないことだ。
クリストヴァン氏は、「バイクの世界の敷居を下げたかった。我々のようなブランドは、お客様が来てくださるのを待つのではなく、お客様のニーズに合うよう歩み寄ることが大切なのです」と語る。
「本当の自分を体現するには、努力が要ります。ハーレーダビッドソンのバイクを買って頂きたいのは山々ですが、同時に、本物の自由を手にできるライフスタイルがあることを皆さんに知っていただきたい」とイナモト氏。
AKQAは、昨年のプレゼンテーションを契機にハーレーダビッドソンの代理店となった。これはAKQAが同ブランドのために手がけた、最初の大型キャンペーンとなる。
Campaignの視点:
ハーレーダビッドソンのようなブランド製品こそ、実際に顧客に体験してもらうのが最も効果的であろう。各オートバイ・メーカーは製品についての情報発信にとどまらず、同社のように製品に触れる機会を積極的に設けるとよいのではないだろうか。果たしてミレニアル世代は、ハーレー・ブランドに見合うほど冒険的で、奔放だろうか ― それは時が経てばわかることだ。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)