CNNは新たな国際事業、モバイル事業、そしてネット動画事業の構築に向け、世界全体で2000万米ドルにおよぶ投資計画を先日発表した。また、SnapchatやLINEといったプラットフォーム用のショートコンテンツで、実験的な試みにも取り組んでいる。
CNNがメッセージングプラットフォームに参戦しているのは、同社が世界中で「ユビキタス」な存在になることを目指しているからだとモース氏は話す。そして、こういったプラットフォームでは実験的な取り組みや、視聴者の声に耳を傾けることが重要だ、と付け加える。例えば、CNNは特集番組中心のアプローチから、ニュースに焦点を置くようになった。
とはいえ、CNNは現在も伝統色の強いTV局だといえるだろう。同局がデジタル空間で今後どのような事業を展開していくのかは「まだ手探りの状態」だ、とモース氏。だが、変革の遂行においてアジア、特に日本は「おそらく世界の他のどの地域よりも重要」と強調する。
CNNはアジアで、それぞれの市場に合わせた分野での成長を目指すことになる。日本や韓国では動画が重要になってくるが、インドネシアなど他国では、モバイルが重要プラットフォームになってくるという。
「すべてに着手するのではなく、効果が期待できることに集中したい。例えば、地域全体で使用できるアプリを開発しつつ、国別でカテゴリ化できるという考えには、非常に強い関心があります」(モース氏)
CNNの東京支局は小規模ではあるが、「相当な事業規模になる」とモース氏。日本におけるデジタルコンテンツの消費が増加していること考えると、今後の展開は楽しみだという。
「CNNデジタル・スタジオ」、「CNNマネー」、「CNNスタイル」、そして「The Great Big Story」(バズフィードやVICEなどのプラットフォームに対抗するために昨年発表)は、すべて同氏が日本で展開したいと考えていたコンテンツだ。
中でも「The Great Big Story」はCNNブランドとは一線を画し、ターゲット層はジェネレーションY(1970年代末から2000年ころまでに生まれた世代)だ。毎月約4000万人のユニークビジターがアクセスし、その平均年齢は27歳だという。ここに広告主は、プレロール広告やバナー広告でなく、ネイティブ広告を展開することができる。クライアントとしては、ゼネラル・エレクトリック(GE)やヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)などが名を連ねている。
ネットワークを日本や世界中の国々に拡大することは、CNNにとって「最優先事項だった」とモース氏。これからは日本が今まで以上にグローバルメディアの舞台に登場するだろう、と予測する。
「日本は、他の国々との関係性の中で語られることが多かったと思います。ですが最近アメリカ人は日本のことを、自信を取り戻したビジネスプレーヤーとして、これまでとは違った視点で注目し始めていると感じます」
(編集:田崎亮子)