B2Bマーケターは、リードジェネレーションとアカウントベースドマーケティング(ABM)を主なマーケティング手段とすることが知られているが、LinkedInのB2B研究所と南オーストラリア大学のエーレンバーグ=バス研究所が発表した調査報告によると、B2B企業はブランド認知の向上にもっと取り組むべきであるという。
英国の法人向け金融機関と米国の法人向け保険会社の利用社1200社以上の利用意向を分析したこの調査によると、特に小規模のB2Bブランドにおいては、そもそもブランドが認知されていないことの方が、ブランドに対する拒否反応より4~8倍も大きな問題であるとされている。
たとえば、ブランドに対する拒否率は、英国の法人向け金融機関で平均11%、米国の法人向け保険会社で平均7%となっており、B2C市場で同様の調査をした場合の9%とそれほど変わらない。
しかし大多数(90%)の人は、そのブランドのことをよく知らなければ、拒否することもないだろうと、B2B研究所のシニアディレクターでグローバルヘッドのジャン・マーティン・シュワルツ氏は言う。
全般的にB2B企業は、顧客が利用を検討する際、すぐに想起されるような強力なブランドアイデンティティを構築できていない。B2Bマーケターの大半は、難解なホワイトペーパーや、ターゲティングによるアカウントベースのアウトリーチ、リードジェネレーションには力を入れるが、クリエイティビティとブランド構築にはそこまで関心を払っていない。
シュワルツ氏は、「どのB2B企業も認知度の向上に課題を抱えているが、その問題の大きさに気付いていないことも多い」として、「自社の知名度が実際にどれくらいなのか、そのカテゴリーでの獲得可能な最大市場規模(TAM)がどれくらいあるのか、B2Bブランドは客観的な数値の把握に努めるべきだ」と述べた。
ブランドに対する拒否は確かに懸念事項ではあるが、B2Bの分野ならばまだ挽回の余地はある。この調査によると、過去に、あるブランドの利用を停止したことのあるB2B顧客の大半は、その後の検討の際、そのブランドを再検討する意向であり、英国の法人向け金融機関については、顧客の3社中2社が、米国の法人向け保険会社については5社中4社が、過去に利用を停止したブランドについても再検討の対象にすると答えている。