今年3月に日本で自転車シェアリングサービスを始めたばかりの中国スタートアップ企業ofoが、難局に直面している。
マーケティングディレクターの橋本未来彦氏が、日本市場統括の日吉良昭氏、PRマネージャーの山中雄介と共に退職したのだ。
橋本氏はビーコンコミュニケーションズからofoに参画。今後は広告業界に復帰するとみられている。日吉氏の前職はゴールドマン・サックス証券のアナリスト、山中氏はインターブランドに勤務していた。
ofoのスポークスパーソンであるサラ・ワン氏は3氏の退職をCampaignに認め、「現在日本での事業を調整中」とだけ語りそれ以上のコメントは避けた。
報道によるとofoは豪州・ドイツ・イスラエルでの事業を中止し、米国でも活動を一時停止中という。同社は急速にビジネスを拡大したものの、乗り捨て可能な「ドックレス」サービスで自転車を過剰供給。各地で自転車が放置される問題が続発し、対処できずにブランドイメージが落ちている。
日本では法令によって「ドックステーション」(貸し出しと返却をする場)の設置が義務づけられているため、他国とは異なる戦略を展開。これまで主要都市を避け、大津市や和歌山市、北九州市といった地方都市での普及を図ってきた。
同社の国内における競合相手はドコモ・バイクシェアやフリーマーケットアプリのスタートアップ、メルカリが始めた「メルチャリ」など。今年前半のインタビューで橋本氏は、「中国ブランドに対する日本の消費者の否定的なイメージを克服することが課題」と語っていた。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:水野龍哉)