世界的な金融機関であるVISAは、前回のブランド刷新から7年を経て、再び変化を遂げようとしている。東京オリンピックの開幕に合わせて発表された、新たなアイデンティティ「Meet VISA」は、クレジットカード会社から、より広範な金融サービスと技術プラットフォームへと進化するVISAの姿勢を示している。
VISAの新たなグローバルクリエイティブエージェンシーであるワイデンアンドケネディが手がけた今回のブランド刷新キャンペーンでは、マリク・ハッサン・サイード監督の短編フィルムがガイド役となり、世界中のすべての人のために機能するVISAのネットワークが紹介される。さらにVISAの広範なネットワークを表現する一連の短いデジタル映像と写真が、この短編フィルムを補完しており、写真家のカミラ・ファルケ氏と、演出家のブライアン・カゼズ氏、パト・マルティネス氏、フランシスコ・カントン氏という3人のアルゼンチンチーム、パンテーラ(Pantera & Co)の協力のもと展開されている。
ブランドロゴの刷新では、信頼やセキュリティ、受容、インクルージョンなどの領域に着目し、デザイン会社のムーチョ(Mucho)と連携して、新たなビジュアルアイデンティティを制作している。「Meet VISA」キャンペーンでは、2021年後半に発表される、進化したブランドアイデンティティのビジュアルを垣間見ることができ、デジタルでのインパクトを意図して刷新された、配色やカスタムフォント、アップデートされたブランドシンボルなどを目にすることができる。
VISAの新しいブランドアイデンティティは、2021年の内に、同社が事業を展開している200以上の国と地域のすべてで見られるようになる。APAC(アジア太平洋地域)では、まずシンガポール、日本、オーストラリア、ニュージーランド、インドで展開され、その後順次拡大する。VISAでAPACのマーケティングチーフを務めるダニエル・ジン氏は、Campaign Asia-Pacificの取材に応じ、このキャンペーンは数日中に世界の18市場で、さらに年末までには40の市場で展開される予定だと述べた。
「当社の事業は、より広範なものになり、今ではB2Bペイメント、暗号、フィンテック、P2Pペイメントなどのカテゴリーも含まれるようになった。私たちは、当社の事業展開に合わせてブランドを進化させたいと考えている」とジン氏は語る。このキャンペーンは、動画、テレビ、デジタル、OOH(屋外広告)等で展開される予定だ。
「人々はVISAのことを『知っている』と思っている」と、同社エグゼクティブバイスプレジデント兼グローバルCMOのリン・ビガー氏は語る。「確かに消費者や企業は、VISAの4文字の力を信頼しており、財布を開けた時、店先で支払う時、店に足を踏み入れた時、オンラインで決済する時、いつもこの4文字を目にしている。しかし一方で、この4文字が、消費者、パートナー、商品が織りなすダイナミックなネットワークを、どのように動かしているのかは見えていないだろう」
VISAによると、同社のネットワークは、36億のクレジットカード保有者、7000万以上の加盟店、数万に及ぶパートナーを結んでおり、年間11兆ドル(約1207兆5250億円)以上の総取引高を支えているという。
「私たちは自らをクレジットカード会社だとは考えていない。当社はテクノロジーペイメント企業だ」とジン氏は主張する。実際、VISAは過去5年間だけで、技術的バックボーンに90億ドル(約9880億円)を投資してきた。
「今回のブランド進化は、VISAの強い大志を示しており、当社が何のために闘い、何のために努力しているのかを表現している」とビガー氏は付け加える。「世界が再始動し、新たな決済手段が次々登場している。VISAの取り組みを訴求するのに今ほど良い機会はないだろう。VISAほどのスケールを持ち、社会への存在意義を追求しているブランドなら、個人や企業、経済に繁栄をもたらす十分な影響力を示せるはずだ。」