マーケティングプラットフォームのアファイス(Affise)は、その最新レポートの中で、社会の多様なユーザーにとって最もアクセスしやすいブランドおよびコマース企業を発表した。
アファイスの「Online Shopping Accessibility Index」レポートは、グーグルの「Chrome DevTools」と「Lighthouse」を用いて、世界的なブランド各社のオンラインユーザー体験を測定し、そのアクセシビリティを100点満点でスコア化したものだ。
金融サービスプロバイダーのVISAは、利便性ランキングで100点を獲得し、世界で最もアクセスしやすいオンラインブランドの栄冠に輝いた。ウェブアクセシビリティに関する欠陥は1件のみで、警告が13件という結果だった。これは同社が、障害を持つ顧客にも最適なユーザー体験を提供するため、かなりの時間を費やしたことを示している。2位はチェース銀行で、同じく100点だったが、アクセシビリティの欠陥が1件、色彩コントラストに関する欠陥が2件あった。
このレポートで、アクセシビリティスコアの算出に用いられているのは、グーグルのLighthouseだ。このツールでは、役にたたない代替テキストや不適切なページタイトル、メッセージの記述に使用されている配色など、サイトのアクセシビリティを損なう要因が細かくチェックできる。ブランドが上位にランクインするには、幅広いユーザーに対する最大限の配慮が必要だ。
このレポートではまた、業種別のアクセシビリティと信頼性についてもランク付けしており、一部の業界は、コマースのアクセシビリティ対策に、他の業界よりかなり力を入れていることが明らかとなった。
自動車ブランドでは、ルノーとボルボが最もアクセシビリティに優れたブランドに選ばれた。ファッション分野のウェブサイトでは、シャネルとH&Mが、アクセシビリティで他社をリードしていた。一方、飲食分野のウェブサイトでは、人気コーヒーショップチェーンのコスタが最もアクセシビリティに優れていた。技術分野のウェブサイトでは、アクセンチュアがアクセシビリティの首位に立った。
レポートの著者らはこう記している。「この2年間の出来事によって、多くの人々がインターネットアクセスやオンラインショッピングに依存するようになった。しかし、驚くことに2022年の今も、オンラインコマースの多くは、社会にはさまざまな障害を持つ人々が存在しており、障害によってオンラインショッピングが極めて困難になっているという事実をまだ理解していないようだ」
英国における「click away(クリック離脱)」による損失は、2019年で総額171億ポンド(約2兆7800億円)相当だった。つまり、ブランドは、自分たちがどこで失敗しているのかを見極め、ウェブサイトのアクセシビリティを向上し、それをオンライン売上と利益の向上につなげることが、これまで以上に重要になっているといえるだろう。
このレポートでは、eコマースブランドのアクセシビリティランキングを示すだけでなく、2022年の年間売上高の上位20カ国の予測も発表している。当然ながら1位は、世界最大のeコマース大国である中国であり、その売上は1兆5353億ドル(約200兆円)に上ると予測されている。第2位は米国で、その推計額は8752億ドル(約114兆円)だ。第3位は日本で、推計額は2412億ドル(約31兆3900億円)となっている。