最も影響力のある世代と言われる僕らの世代は、すでに人生の中で、大きな社会的、文化的なターニングポイントに遭遇し、その経験が僕らの現実世界やデジタル世界での行動に強い影響を及ぼしている。だから、東南アジアのZ世代は、ブランドのさまざまなファクトを考慮するようになった。世代全体としては、誠実さや行動力を期待しているけれど、みんなが同じ考えを持っているわけではない。優先順位もさまざまだ。もし僕らに、購入だけでなく、ブランドへの支持も望んでいるのなら、いくつかのシンプルな取り組みに焦点をあてるのが良いだろう。
情報をわかりやすく、入手しやすくする
クリック一つですぐに情報が得られる時代に育った僕らは、オンラインで簡単に情報を入手する方法を知っている。実際、東南アジアのZ世代を対象に、ブランドの目的と責任に関する考えを調査した最新レポートによれば、回答者の半数が、購入前にブランドの価値観を調べると答えている。Z世代の共感を得ようとするなら、ブランドが一体何を体現しているのか知ってもらう必要がある。Z世代とコミュニケーションを取る最善の方法は、直接かつ正直に話しかけることだ。僕らは、ブランドの価値観が自分の価値観と一致すると知って初めて、そのブランドに関心をもつのだ。
ただし、情報過多のせいでユーザーが逃げ出さないよう注意した方がいい。ブランドが支持している価値観を、手間をかけることなく簡単に理解できるようにしてほしい。専門用語でごまかすのはいけない。僕らはそういう欺瞞はすぐに見抜く。自分の信念にそぐわなければ、僕らはブランドを攻撃することだってある。
説明責任を行動で示す
もう分かっていると思うが、僕らは理由もなく、企業を排斥したり、ブランドを攻め立てたりはしない。過ちを犯したときは、潔く誤りを認めよう(そんなに難しいことではないはずだ)。その上で、改善策を示してほしい。これは本気で行動を起こすということだ。間違いを正し、必要ならすぐに謝罪しよう。
説明責任は、何かが起きて初めて生じるわけではなく、それ以前にも存在している。ブランドはまず、社会の中で自社が果たす役割を明確に定義することが重要だ。何を重視するかは人それぞれだ。しかし、僕らZ世代の多くは、ブランドがコミュニティの中でしっかりとした目的を掲げ、説明責任を果たすことに大きな期待を寄せている。前述のレポートでは、回答者の54%が、ブランドは現在の社会問題に対するスタンスを明確にすべきとの考えを示していた。また回答者の37%は、沈黙を貫くブランドは支持しないと答えている。
新しい形の関係を築く
僕にとって、ブランドは自分自身の延長線上にあるものだ。僕らは企業が消費者との関係構築に力を入れていることは知っている。だが、直近の(そして知っておくと良い)知識は、Z世代はつながりを望んでいて、購入するブランドに意味を求めており、その背後にいる「人間」ことも知りたいと思っているということだ。
そうした情報を共有することで、一種の擬似的な社会関係が形成される。これは顧客と、彼らには知り得ない企業実体もしくは企業人格との間の、想像上の関係だと言えるだろう。このような関係は、さまざまなPRや、オンライン活動、マーケティング活動を通じて発展させることができる。しかもこの関係は、単に交流を促進し、影響力を拡散するだけではなく、顧客の購買意欲を高める強力な触媒となる可能性も秘めている。
ゴードン・チュア氏は、デブリーズ・グローバルのシンガポール支社に所属するコンサルタント。