日清食品がカップヌードルのプロモーションとして展開するシリーズ、「Crazy Makes the Future」。その最新コンテンツは、伝説的な「七人の侍」の大胆な現代風アレンジだ。
この2分間の動画は、2016-2017シーズンにおけるカップヌードルのグローバルCMとして日本とブラジルを皮切りに、インド、インドネシア、シンガポールなど世界各国で展開される。ブラジルのリオ市街や海、雪山などを舞台に甲冑を身に纏った7人のサムライがサーフィン、スケートボード、BMX、フリースタイルスキー、ポゴスティック(ホッピング)といったエクストリームスポーツで超高難度のパフォーマンスを繰り広げる。
既にYoutubeでの再生回数は300万回に迫りつつあり、テレビCMも放映されている。日清は、サムライとスポーツを組み合わせたCMを2014年にも制作した。ブラジルでのFIFAワールドカップ開催に合わせ、全身を鎧に包んだサムライが息を呑むようなリフティングの足さばきを披露する内容だった。
3月から展開中の「Crazy Makes the Future」シリーズは電通が手がけ、日清の際立った個性が実によく表現されている。Youtubeの動画では、「世界を変えるのは、いつだって一人の人間の『熱』。同じバカなら、世界を沸かせるバカになれ」という日清からのメッセージが添えられている。
Campaignの視点: このCMで何を伝えたいのだろうか。メッセージのテーマ性には疑問符がつくが、映像自体は期待を裏切らないエンターテインメント性と出来栄えだ。特に、刀をストックにしてスキーをするサムライが面白い。
だが、日清には是非お願いしたいことがある。次回作では日本を象徴する新しいアイコンを起用してほしい。サムライ(そして女子高校生も)のキャラクターは数々のブランドに乱用されており、結局どれも似たり寄ったりに見えてしまうことは否めない。2014年の動画に登場したサムライのリフティングは、紛れもなく素晴らしかった。同一テーマでシリーズを続けることは理にかなっているし、安全でもある。だが日本の豊かな文化を鑑みれば、グローバルな訴求力のあるアイコンはほかにもいるはずだ。仮にそれが「主力級」でなくても、日清のクリエイティブ力をもってすればインパクトのあるアイコンに仕立て上げることは十分可能だろう。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)