世界的に著名な日本のアーティストはそれほど多くないが、現代美術アーティストの村上隆氏は紛れもなくその一人に数えられる。一目で同氏の作品と分かる花のモチーフは、アートとデザインの世界を結びつける。プロダクトに即効性のあるブランドリフトを望むブランドにとって、村上氏の作品は非常に魅力的だろう。
ロレアル傘下の化粧品ブランド、シュウ ウエムラの今年のクリスマスコレクションは、村上氏とのコラボレーションだ。コレクションのリリースに合わせて、東京中を花のモチーフで「ラッピング」する動画が制作された。この動画にはライトペインティングの手法とピクセルスティックというツールが用いられており、シュウ ウエムラの化身として登場する女性が、花のモチーフで東京中を彩っていくストーリーになっている。球体型のドローンも登場し、都会の夜にカラフルなリボンをかけていく。この動画はヴァイス・メディアを中心に配信されている。
制作の裏舞台を収録した動画によると、ダンサーがピクセルスティックを手に躍動的なリボンの動きを描き、その光の軌道を長時間露光で収めていく。監督は伊東玄己氏、JKD Collective(ジェイケイディ・コレクティブ)がプロデュースした動画には、村上氏本人もタクシー運転手としてカメオ出演している。音楽は羽深由理氏が手掛けた。
Campaignの視点:テクノロジーを発想豊かに取り入れ、楽しさが感じられる、化粧品ブランドのキャンペーンとしては非常に珍しい作品。なお、村上氏とシュウ ウエムラのコラボレーションはこれが初めてではない。強い輝きを放つ村上隆ブランドとのコラボレーションは、シュウ ウエムラに効果をもたらすとみて間違いないだろう。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)