アクセンチュア・インタラクティブはこの1年間、M&A(合併・買収)を控えていた。にもかかわらず、収益は20パーセント以上の増加となった。
同社は、2017年9月から2018年8月におけるマーケティングサービスの収益を78億米ドル以上と計上。これは世界第4位の広告グループ、インターパブリックに匹敵する数字だ。
アクセンチュア・インタラクティブの年間収支報告書では、具体的数字やオーガニック収益成長率(買収による影響を除く)に触れていない。
だが親会社であるアクセンチュアはこれに先立ち、「2016年9月からの1年間におけるアクセンチュア・インタラクティブの収益は65億ドル」と投資家に発表。この1年で20%の増収となり、収益は少なくとも78億ドルに達した。
アクセンチュアのデヴィッド・ローランドCFO(最高財務責任者)は収支報告に際し、2017年9月からの1年間の収益成長率は「非常に力強く、2桁となって20パーセントを優に超える」と語った。
同社会長でチーフエグゼクティブも務めるピエール・ナンテルム氏は、「アクセンチュア・インタラクティブの成長にはとりわけ満足している。今やアクセンチュア・インタラクティブは、ラディソン・ホテル・グループやマセラティのような多くの世界主要ブランドをクライアントとし、大規模に展開するマーケットリーダーとなった」と語った。
アクセンチュアのM&Aにおける支出は対前年比で約3分の2減だったが、それでも2017年9月からの1年間で6億5800万ドルを支出。アイルランドのクリエイティブエージェンシー「ロスコ(Rothco)」やビジュアルエフェクト(VFX)を手がけるドイツの「マッケビジョン(Mackevision)」などを傘下に収めた。
2016年9月からの1年間で、アクセンチュアは17億ドルを投資してエージェンシーサービスに大々的に進出。「カーマラマ(Karmarama)」、「シナーシュレイダー(SinnerSchrader)」、「ザ・モンキーズ(The Monkeys)」、「モウド(Maud)」、「ブランド・ラーニング」(Brand Learning)などを次々と買収した。
同社は株主に対し、今後1年間の買収資金として15億ドルを用意しており、「機会と状況に応じてそれ以上の支出をする用意がある」と語った。
この5月、アクセンチュアはプログラマティックメディアバイイング分野の事業拡大を発表。新たに設立した「アクセンチュア・インタラクティブ・プログラマティックサービス(Accenture Interactive Programmatic Services)」は、ブランドのインハウスにおけるプラグラマティックバイイングをサポートし、クライアントに代わってプランニングとバイイングを行うエージェンシーとして活動する。これは多くの従来型メディアエージェンシーから脅威と受け止められている。
マーティン・ソレル卿が設立した新たなマーケティングサービスグループ「S4キャピタル」は先月前半、目論見書の中で「アクセンチュアやデロイトなどのコンサルティング会社がクリエイティブ企業とより直接的に競い合うようになってきた」と明記。
アクセンチュア・インタラクティブはコンサルティング会社の中でも最も積極的にマーケティングサービスに進出しており、2017会計年度末までに2万5000人を雇用した。この数字は今後も大きく伸びるとみられる。
アクセンチュアの総収益は、2017年9月からの1年間で10.5%伸び、現地通貨ベースで400億ドルに達している。
(ギデオン・スパニエ 水野龍哉)