パンデミック前はビジネスイベントの会場に大勢の人が集まり、講演を聞いたり人脈を広げたものだった。
新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年はバーチャルでの開催が急増したものの、ワクチン接種が進んだ2021年は対面とバーチャルを組み合わせたハイブリッド型の開催が増えた。
しかし今年に入ってからは、オミクロン株が世界中で猛威を振るっている。米ラスベガスで先日開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)も、出展を断念する企業が続出し、来場者数も減少。さらには感染対策のために、開催期間を1日短縮することとなった。
イベントマーケティングを支援する米スプラッシュ社が、イベント専門家253名と参加者3,133名を対象に実施した調査からは、バーチャルイベントを恒久的な戦略として位置づけようとする企業の姿が垣間見える。
2022年はハイブリッド型での開催を増やすと回答したのは全体の79%だった。59%はバーチャルイベント技術への投資を増やし、74%は採用活動でバーチャルイベントを活用する予定だという。
パンデミックを機に、多くの企業はデジタルマーケティングを強化し、将来バーチャルイベントで必要なスキルセットを磨いたと語るのはスプラッシュ社のCEO、エリック・ホルメン氏だ。
「予定していたイベントがキャンセルになった場合は、デジタルマーケティング担当者の頭に切り替えてツールキットを使うようにならなくてはなりません」とホルメン氏。「対面型で得られるセレンディピティ(予想外のものに偶然出合うこと)やマジックに頼れなくなったからです。参加者の体験をパーソナライズするデジタルツールに、戻れるようにならなくてはなりません」。
対面型イベント急減のあおりを最も受けるのは展示会業界や、季節限定のショッピングイベントやグランドオープニングイベントを頻繁に開催する大規模リテールブランドになるだろう。「今は展示会ビジネスに携わりたいとは思いません」と同氏は吐露する。「残りのパンデミック期の間も、さらにはパンデミック後も、事業環境は厳しいものになるでしょうね」。
一方で、対面型での開催が前年よりも増えるだろうと予測する回答者も50%に上る。「感染者数の波が落ち着くと、参加者は増えることが多いものです」。
だが大規模なイベントへの参加はリスクが大きすぎることから、厳選されたコンテンツやエクスペリエンスを得られる小規模なイベントへの人気が高まるだろうと同氏は考える。「人々はどのイベントに参加するか、厳しい目で選ぶようになっています」。
(文:マライア・クーパー、翻訳・編集:田崎亮子)