Suzanne Powers
2021年1月15日

クリエイティビティと効果の関係

クリエイティビティと効果向上は手を取り合う必要があると、マッキャン・ワールドグループ(McCann Worldgroup)のグローバルプレジデント兼最高戦略責任者は語る。

クリエイティビティと効果の関係

どんなに素晴らしい時代においても、大胆なクリエイティビティと持続的なビジネスインパクトを両立させるのは難しい。

しかし、それこそが本物のマーケティング効果を引き出すために最も重要なことだ。

もしクリエイティビティが効果的でないならば、それはレーダー上に一瞬ともってすぐに消える輝点のようなものでしかない。もし効果的だがクリエイティブでない仕事であれば、それはつかの間の増益を実現する短期的な解決策であるに過ぎない。クリエイティビティが効果的で、効果的な仕事が創造的であるなら、それはビジネス、人、さらには世界にも重要な影響をもたらすことができるだろう。

創造的であり、かつ効果的であることを受け入れられる企業文化は、意思を持って育む必要がある。その文化は、厄介なクライアントの問題をクリエイティビティによって解決し、クリエイティビティと効果は互いになくては存在しえないことを受容するよう求めるだろう。

私たちが企業文化醸成の過程で学んだ教訓をいくつか紹介しよう。

1. クリエイティビティと効果向上の両立は全員の仕事

クリエイティビティと効果向上を双方ともに実現するためには、エージェンシーとクライアントは、この双方が間違いなくつながっているという信念を共有しなければならない。

私たちはクリエイティブワークのプロセスから統合的手法によるチーム組成に至るまで、組織全体で創造的かつ効果的であることを受け入れる文化を育んできた。私たちのミッションは単なる哲学ではなく、仕事を改善するための日々の実践にまで浸透している。

この文化と実践を推進するため、メンバーには必要なものをすべて提供すべきだ。クリエイティブなプロセスの全ての工程において効果向上の仕組みを意図的に組み込む方法を見つけることが仕事の強化につながるからだ。

2. 効果を人という概念で扱う

かつて、効果はニールセンの視聴率やクリック単価を意味していた。しかし、もはやそれだけでは不十分だ。

本当に効果的な仕事とは、人々の心に響き、行動を喚起するものである。ブランドは長い間、長期的な効果より短期的な効率を重視してきたが、本当に効果的な仕事とは、人間的なレベルで人々とつながるということだと、多くの人が気付き始めている。社会におけるブランドの意味と役割とは、それがビジネスのあらゆる側面について情報提供する方法として効果的だということだ。

3. 効果の高さは様々である

ビジネスの成果、ブランドのインパクト、文化のインパクトはすべて、効果的な仕事の要素になり得る。3つすべてを実現するには、ブランドは意味のある役割を見いだし、それを明示することができなければならない。単発的な目新しさから脱却し、一貫性のある戦略的な仕事の仕組みをつくれば、ブランドが行うすべてのことに意味を持たせられる。その結果、効果だけでなく効率性も高まる。さまざまな効果に対する要求を実現するには、クライアントとの緊密なパートナーシップが不可欠だ。例えば、私たちの中南米のクライアントは効果をとても重視しており、2020年のエフィー賞にも積極的に参加していた。

4. 効果向上にはパートナーシップが不可欠

世界にインパクトを与えるという大胆な目標を共有するためには、大量のデータを扱う能力も必要だ。本当の意味でクライアントと一丸となって仕事をするには、クライアントとともに、すべてのブリーフを大きなインパクトを与えるチャンスとして捉えるべきだ。

まずはデータから始めよう。データの文脈を設定し、解釈し、クリエイティビティのきっかけとなるインサイトを探す。優れたクリエイティブワークとは、単に情報を伝えるだけではない。ブランドというフィルターを通じて、物事を新しい視点で見ることに挑戦することだ。

5. 効果とは授賞式シーズンのことではない

アワードは、プロセスと目的を通じて一貫性のある優れた仕事を称揚する社会に浸透した文化の一つだ。ボタンを押したり、アルゴリズムを解読したりするだけでクリエイティビティが手に入るわけではない。深く掘り下げ、新しい何かを見つけ出す厳密さ、新たなチャンスの扉を開くために創造的な飛躍を遂げる勇気が必要なのだ。

クリエイティブの効果を受け入れる文化を育むことは戦略部門だけの仕事ではない。すべての人が等しく文化の育成に取り組むべきだ。クリエイティブの効果はこのビジネスの通貨であり、アイデアが私たちのクライアント、社会、世界に直接的な影響を与えることができるという証明でもある。

ただし、クリエイティブの効果が発揮されるための条件を整えてこそ、私たちはクライアントの問題解決にクリエイティビティを活かすことができるようになるのだ。


スザンヌ・パワーズ(Suzanne Powers)氏はマッキャン・ワールドグループのグローバルプレジデント兼最高戦略責任者。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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