ソレル卿は約2億1千億米ドル(230億円)相当のWPP株を保有する。同氏は先週、ビジネスニュース専門チャンネルCNBCの番組に出演、その理由は「清算価値の潜在性にある」と語った。
同氏はWPP全株式の1.4%を保有する個人筆頭株主。番組司会者であるスティーブ・セジウィック氏が、「WPPは既に存在意義を失ったのか」「なぜ今でも株主なのか」などと質問した。
これを受けたソレル卿は、「WPPは劇的に変わらなければならない」と前置きしつつ、「極めて興味深いのはグループ傘下でメディアプランニングとバイイングを行っているグループエムだ」と語った。
「グループエムの企業価値はおそらく150億ドルに上るだろう。これはWPPグループ全体の時価総額に匹敵する」。10月7日時点でWPPの時価総額は122億1千万英ポンドで、ドルに換算すれば150億5千万ドルになる。
「今は負債があるので、企業価値はもっと高いはず。だがあなたの質問に対する答えは、グループエムやWPPの清算価値、時価総額だ。これまで久しく見たことのないレベルになってきている」
「ピュブリシス はエプシロン(米アライアンス・データ・システムズのマーケティング部門)を40億ドルで買収し、第2四半期(4〜6月)の収益を4%減らした。クレディ・スイスは昨日、ピュブリシス の企業価値評価を下げた。買収発表後の月の収益は減るものだ。既存分野でのプレッシャーは相当なものだろう」
同氏は昨年、新会社S4キャピタルを設立。注力するデジタル制作やデジタルメディアといった成長分野と、「既存分野」との対比を強調する。
「我々S4キャピタルは真っ白な紙の状態だ。売上高は40%、45%と伸びており、勢いを伸ばして今年下半期に突入している。米国の広告市場の統計データを見てみると −− IPG(インターパブリック・グループ)が出した今年上半期の結果だが −− 市場全体は6%増で、デジタルは20%増、従来型事業は3%減。よって鍵は、変革にどのように対応するかということだ」
(文:ダニエル・ファレイ・ジョーンズ 翻訳・編集:水野龍哉)