グーグルの大規模な反トラスト法裁判では、内部コミュニケーションの問題が焦点となっている。米司法省(DOJ)は、グーグルの内部通信ポリシーが、反競争的な会話を隠蔽するために利用されたと主張し、それを狙い撃ちしている。
この画期的な裁判において、司法省といくつかの州は、グーグルが携帯電話メーカーやインターネットブラウザ企業と違法な反競争的な取引を行い、競合他社を抑圧したと主張している。これらの取引には、サファリやファイヤーフォックスの検索エンジンをデフォルトでグーグルにするためにアップルやモジラに協力金を支払っていたことや、アンドロイドの端末メーカーがグーグルの検索ウィジェットを画面の目立つところに表示させていたことなどが含まれる。
グーグル側は、グーグル検索の品質が優れているから圧倒的な検索エンジンとなっているのであり、必要なら誰でも簡単に競合他社に乗り換えることができる、と主張している。この件について、同社担当者からのコメントは得られていない。
Law360(法律専門メディア)が最初に報じたところによると、司法省は9月15日に、携帯電話メーカーとのアンドロイド・パートナーシップを担当するグーグル幹部、ジェームズ・コロトゥロス氏を尋問した。司法省は、コロトゥロス氏に対し、反トラスト法に関する政府の監視からグーグルを守るためにとった措置について質問している。
コロトゥロス氏は冒頭、Androidのエコシステムが強固であり続けることを願っていたと述べ、「私はグーグルを守るために働いてきた」と証言した。
Law360によると、司法省のこれまでの論点の多くは、グーグルが重要な証拠を隠蔽していると主張することだった。グーグルの社内広報ポリシーが、「優位性」や「市場シェア」など、グーグルにとって不利になる可能性のある、特定の用語やフレーズを使うことを従業員に禁じているとされる件については、政府が同社証人にすでに確認を行っている。
政府はコロトゥロス氏に対し、彼がグーグルのスタッフに行ったプレゼンテーションについて質問した。このプレゼンテーションでは、守秘義務に関する注意喚起が何度もなされており、アプリ配信や収益分配取引について議論するための 「書面でのあらゆるコミュニケーション」は「法務確認が必要である」と記載されていた。
コロトゥロス氏は、自分がこのプレゼンを作成したわけではなく、従業員に弁護士の確認を取るよう積極的に指示したこともないと主張した。但し、グーグルのアンドロイド契約に関するすべての議論について正確性を期すために、同氏は社内法務に確認していたと述べている。
コロトゥロス氏はまた、24時間後にメッセージが削除されるチャットで、アンドロイド契約についての実質的な会話をした覚えもなければ、始めた覚えもないと主張した。彼は、すべてのやり取りが記録されるライブミーティングや電子メールを使うよう同僚にも勧めていたと述べた。
しかし司法省は、コロトゥロス氏に彼の電子メールを示して追求した。そこには「電子メール以外で話し合うのがベスト」と書かれ、代わりにグーグルのチャットプラットフォームのひとつでメッセージを送るよう同僚に指示していた。これに対しコロトゥロス氏は、これが、会話が保存されないようにするためだったかどうかは覚えていないと主張した。
Law360によると、コロトゥロス氏は、グーグル側弁護士による反対尋問で、アンドロイドの契約はとても複雑なため、チャットで話し合うのは非現実的だ、と証言している。