IPG メディアブランズが行った生活者のデジタルメディアの利用実態・意識に関する調査では、世代を問わずオンラインショップの利用が増え、シニア層にますますスマートフォンが浸透していることが明らかになった。
2016年11月の3日間、関東および関西のインターネット利用者2,400人を対象に行われた「Media in Mind 2016 デジタルメディア調査」によれば、70-74歳の回答者のスマートフォン所有率は2015年の17%から上昇し、28%(男性33%、女性23%)となった。15-74歳全体では61%に達した。
こうしたスマートフォンの所有率の高まりも影響しているのだろう。シニア層によるオンラインショップでの購入などが増えている。一年間でデジタルデバイスを通して行うことが増えた行動(複数回答)として、70-74歳が挙げたのは、オンラインショップでの購入が最多(男性55%、女性38%)だった。次いで、インターネットバンキング(男性41%、女性19%)となった。なお、オンラインショップでの購入は、調査対象全体(15-74歳男女)でも最も普及が進んでおり、41%の対象者が「増加した」と回答している。
日本のインターネットバンキングは諸外国に比べてサービス内容が比較的限られているにも関わらず、いずれの年代でも利用が増えている。テレビや映画の視聴が上位にランクインする一方で、ラジオ聴取も根強い人気を示した。15-19歳男女の8%、20-34歳男性の6%が、以前よりもデジタルデバイスでラジオを聴くことが増えたと回答している。
ヤフーは世界中で著しく利用者を減らしているが、日本では依然として人気がある。全体の46%が、「なくなったら困るサイト/アプリ」だと回答した。2位はグーグル(34%)だが、15-34歳男性ではグーグルがヤフーを抜いて1位になっている。ヤフージャパンの収益源は広告とeコマースだ。同社の広告関連の売上は現在、その半分がスマートフォン経由であり、月間アクティブユーザー数は前年比16%増の3,700万人以上だと、ブルームバーグが報じている。
オンライン通販サイトとしては、全体ではアマゾンが1位になったが、70-74歳のシニア層では男女ともに、楽天の方が人気がある。その他、ライン(メッセージは除く)とユーチューブも「なくなったら困るサイト/アプリ」として上位に入った。15-19歳男性ではユーチューブよりラインが上位だが、20-34歳の男性ではその順位が逆転している。50歳以上では男女ともに「地図・交通関連アプリ/サイト」が重宝されている。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)