Steve Barrett
10 時間前

ダボス会議、ビジネスの先行きに楽観論

先日開催されたダボス会議の、参加者たちの見通しは慎重ながらも楽観的だった。経営リーダー達がコミュニケーション責任者に、より大きな責任を果たすよう期待していることも明らかになった。

写真:Shutterstock
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* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の4日目、ついに雪が降り始めた。

週の大半は天候が比較的穏やかで、いつもよりは歩きやすかったようだ。地方当局が所々に砂利を敷き、歩行者は用心が必要ではあったものの、ニューヨーク市のような厳しい寒さではなかった。

これは、ダボス会議2025のほんの一面に過ぎない。何人かに話を聞くと、例年よりも静かだったし、人々の関心は別の場所(主にワシントンD.C.)に向いていたと言うだろう。あるいは、これまで以上に賑やかだったと言うかもしれない。

個人的には少し静かだったように感じたが、数多くのPRのプロフェッショナルが現地にいた。CEOや経営層をサポートするCCO(最高コミュニケーション責任者)や、クライアントのために動くエージェンシーの人たちもいて、ソートリーダーシップを発揮し、新規開拓に努めていた。

今回のダボス会議が通常と異なった要因の一つは、ドナルド・トランプ米大統領の就任式と日程が重なったことだ。ファイザー(Pfizer)のアルバート・ブーラCEOなど企業のトップがワシントンD.C.からダボスに駆け付け、会議やパネルディスカッションに出席し、人々でごった返すメイン会場を訪れていた。

そしてトランプ大統領のオンライン演説を、固唾をのんで待ち構えていた。

6月のカンヌライオンズ会期中のパレ(会場)とクロワゼット通りの雰囲気が対照的だったように、ダボスにも2つの異なる体験が混在する。

ダボス会議にはメイン会場で過ごす人々と、そこに入場できずにプロムナードを歩き回る人々がいる。プロムナードでは企業(ハイテク企業やコンサルティング企業)や国や自治体などが、自分たちの製品を売り込んでいる。

そして人々はウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)やセマフォー(Semafor)などが展示ブースを設置するベルヴェデーレなどの高級ホテルに集まっていく。早朝から深夜まで出かけるスタミナのある人たちのため、数多くのパーティーや飲み会が開催されるのだ。

世界最大のPR会社であるエデルマン(Edelman)は今年、プロムナードにブース「エデルマン・トラスト・ハウス」を開設し、火曜早朝の朝食会にて調査「2025エデルマン・トラストバロメーター」を発表した。 今年のテーマは「不満」で、政府、メディア、企業といった主要な機関への信頼の低さが示された。白人男性の50%が差別を受けていると感じているとのことだ。

また10人中4人が、敵対的な活動が変化を推進する手段だとみなしているという。12月にニューヨークの路上で米医療保険大手ユナイテッドヘルスケア(UnitedHealthcare)のブライアン・トンプソンCEOが射殺された衝撃的な事件の背景について、説明がつくかもしれない(もちろん正当化できないが)。

ウェーバー・シャンドウィック(Weber Shandwick)も、プロムナードの反対側に「ソーシャル・イノベーション・ハウス」を構えた。隣接するウクライナの展示施設「ウクライナ・ハウス」にゼレンスキー大統領が訪れた際には、有名人が集まり熱気に包まれた。

オムニコムPRグループ(Omnicom PR Group)は、Campaignの姉妹サイトであるPRウィーク(PRWeek)と提携し、ダボスを見下ろすアルペンゴールドホテルでディスカッションを実施。変化の多い1年がCCOやPRの専門家、ビジネスリーダー、社会に与える影響について議論した。

CCOの団体であるページ・ソサエティ(Page Society)は、CEOに就任したばかりのロシェル・フォード氏によるイベントを複数主催し、ダボスで存在感を発揮した。CCOがもたらす価値が、CEOや経営幹部にこれまで以上に高く評価されていることは疑いようがない。しかし、ウェーバー・シャンドウィックなどによる最新の調査は、経営リーダー達がコミュニケーション責任者により多くのことを期待していることを示唆しており、これにはより大きな責任が伴う。

PRWeekは今後数カ月、この話題に注目していく予定で、ポッドキャストでもお届けしていく。

ダボス会議は長らくサステナビリティーについて議論するフォーラムとされてきたが、最近ではビジネス、貿易、経済に重点が置かれている。上向き傾向な空気感に満ちており、2期目のトランプ政権の始動については慎重かつ楽観的に受け止められている。トラストバロメーターの発表時にリチャード・エデルマンCEOは「トランプ大統領が物事を成し遂げることができれば、世の中の流れは大きく変わるでしょう」と述べた。

ダボスの街では、トランプ大統領がこれらのことを成し遂げるには18カ月から2年間の時間があり、その後は中間選挙に焦点が移るだろうといった声が聞かれた。バイデン前政権が大企業寄りとはみなされず、ダボスのコミュニティーともあまり意欲的に関わってこなかったのとは対照的だ。

「コラボレーション」という言葉は、さまざまな場面で飛び交っていた。特に、AI時代の到来に向けて世界の労働者の能力を再開発して高めていくという文脈で、ひんぱんに用いられていた。

トラストバロメーターのパネリスト達は、人々がAIを信頼していない、あるいはAIが何であるかさえ理解していないと指摘していた。あらゆる機関がコラボレートすること、そして何よりも重要なのはAIに関する計画を伝え、「ロボットが人間の仕事を奪う」という認識に反論することだという。

「企業は経済に対する楽観的な見通しを取り戻して、社会や政治と再び関わり、資本主義の正当性を主張しなければなりません」と語るのはハイネケン(Heineken)のドルフ・ファン・デン・ブリンクCEO。その実現の鍵となるのが能力の再開発で、「中流階級の雇用を創出しなければ、底が抜けてしまうでしょう」。

シスコ(Cisco)が昨年11月末に発表した最新のAI成熟度指標も、これを裏付ける内容となっている。グローバル全体で約8,000名を対象とした同調査で、AI技術の導入と活用に備えることができていると回答したのはわずか13%と、前年(14%)から1ポイント減少している。ダボスのプロムナードにあるAIハウスは盛況だったが、昨年ほどの賑わいではなかった。

ダボスではティックトック(TikTok)に関する話題で持ちきりだった。19日までの事業売却か米国内でのサービス停止を迫る法律について、トランプ大統領が施行を延期するつもりであることが明らかになると、運営会社はサービスをすぐに再開させた。

今後数カ月間はダボスでもそれ以外のビジネスの場においても、テクノロジーやソーシャルメディアの話題が注目を集めることだろう。

最後に、エリートが高尚な議論を繰り広げる会期中に、舞台裏で懸命に働くPRのプロフェッショナル達に思いを馳せたい。彼らの多くは会議が始まる数日前に到着し、アクティベーションやイベントを準備した。そして、1年分の商談を終えた参加者を乗せたヘリコプターやプライベートジェットがダボスを発った後も、まだ懸命に働いているだろう。

提供:
PRWeek

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