ダヴのグローバル最高マーケティング責任者を務めるアレッサンドロ・マンフレディ氏によると、マーケティングチームのクリエイティブへの意欲が、ブランドの成功における最も重要な要素であり、エージェンシーの提案よりも重要なのだと説いた。
同氏は、ユニリーバ傘下のダヴにとって「最も深刻な問題」は、マーケターが、エージェンシーの提案するクリエイティブなアイディアを受け入れる力量が足りないことだと述べた。
彼は、先日開催されたカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルで講演し、アイディアを検証する間もなく、次から次へと広告を配信する「きりのないばかげた競争」が、リスクを伴わない「無難な」クリエイティブの制作に繋がっていると語った。
マンフレディ氏と、ユニリーバの前デジタル兼コマーシャル最高責任者であるコニー・ブラムス氏が登壇した座談会で、Campaignは、ダヴやユニリーバのその他のブランドが、エージェンシーにどの程度クリエイティブな挑戦を期待しているのかを尋ねた。
それに対し、マンフレディ氏は次のように答えた。「成功のための最大の課題は、マーケティングチームのクリエイティブへの意欲だ。重要なのはエージェンシーが私たちに刺激を与えることではなく、私たちがその刺激を受け止められるかどうかだ」。
同氏はさらに、「我々は大手企業であり、たくさんのブランドを所有している。だからこそ、(クリエイティブにおいて)社内に無難を排するプロセスを作り出すことが重要なのだ」と言う。
「なぜなら、エージェンシーの提案するクリエイティブを完全に消化しきれていないことが、私たちが抱える最大の問題だからだ」。そのために、ユニリーバは今年、これまでで最大規模のマーケター陣をカンヌライオンズフェスティバルに連れて来た、と彼は付け加えた。
ユニリーバの5大ビジネスグループのCMOとWPP、IPG、オムニコム、オリバー、エデルマンの最高クリエイティブ責任者やエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターで構成される、ユニリーバの「クリエイティブ協議会」も、同社の問題を解決するのに役立つはずだと、マンフレディ氏は語った。
この協議会は、社員のクリエイティブへの意欲を高め、クリエイティブリーダーを育成し、クリエイティビティへの障壁を取り除くことを目指しており、ユニリーバの最高ブランド責任者兼最高エクイティ・ダイバーシティ・インクルージョン責任者のアライン・サントス氏が議長を務めている。
座談会でブラムス氏は次のように補足した。「社内メンバーとエージェンシーなど外部の人々で構成されるクリエイティビティ協議会は、我々がいかにクリエイティビティを重要視しており、その基準を高めたいと考えているかを示す証です」。
彼女はさらに言い述べる。「クリエイティビティを発揮する場所があることは非常に重要です。そこにマーケターたちが集まって、『私はこう思いますが、皆さんはこのクリエイティブアイディアをどう思いますか?』と、すぐに議論を始めることができるからです」。
ユニリーバは、名簿に登録されているエージェンシーなら、一年中利用可能であり、いつでもアイディアを提案できる「常設のブリーフ」システムを設けている。
マンフレディ氏は、ここで提示されるブリーフには、製品ごとの目標だけでなく、より広範なブランド目標も網羅されており、例えば1959年に発売されたダヴ・ビューティバー(石鹸)の「more iconic」キャンペーンも、「美意識をデットクスする方法」(SNS上の美意識の悪影響から子供を守る)などのブランディングキャンペーンも含まれている、と語った。