* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
パリ2024パラリンピックの運営委員会は、放映権を過去最多の160カ国・地域に販売した。8月28日から9月8日にかけて開催される同大会では、世界中から4,000人以上のアスリートが22競技、549種目でメダルを競い合う。
ニールセン(Nielsen)によると、パラリンピックへの関心はこの8年間で2倍以上に高まった。東京2020パラリンピックの累積視聴者数は過去最高の41億人に達したが、今回のパリ大会ではこれを上回る可能性が高い。
「メディア各社がパラリンピックを強力な投資機会と認識していることは明らか。これは東京2020大会と比べて放映権料が20%増加していることからも裏付けられています」と語るのは、ベンチメディア(Bench Media)のパフォーマンス責任者であるアーロン・ジャンセン氏だ。「この前例のないリーチを考えると、今大会の広告売上は記録的なものになる可能性が高いでしょう。ブランドは、このような多様かつ重要な視聴者とエンゲージすることの価値と影響力を認識しており、積極的に活用したいと考えています」。
年間を通じたコミットメント
パラリンピック期間中の広告は、ブランドが社会的責任やDEI(多様性、公平性、包摂性)へのコミットメントを示す、またとない機会となる。障害を持つアスリートを広告に起用したり、アクセシビリティーを向上させる製品・サービスをプロモートするなど、ブランドが切望するような表現を増やすことが可能だ。
「しかし最も重要なのは、ブランドが口先だけではなく行動をすること」と、メルトウォーター(Meltwater)の最高戦略責任者であるアレクサンドラ・サーブ・ビャートネス氏は言う。「これは、表面的な取り組みではなく、真のサポートを積極的に示すことを意味します。年間を通じて一貫したオーセンティックなキャンペーンを展開し、具体的な行動をとることで、ブランドはよりインクルーシブな社会に貢献し、認知度と理解度を高めることができます」。
同社によると、いくつかのブランドはインクルージョン推進の最前線に立っており、その取り組みにまつわる会話が急増している。たとえばエアビーアンドビー(Airbnb)はパラアスリートのアクセル・アレトル氏(競泳)ならびにソフィアン・メヒアウイ氏(車いすバスケットボール)とパートナー契約を結び、五輪期間中にアクセシビリティー対応の宿泊施設を提供。ユニバーサルアクセシビリティーの必要性について認知度を高めるだけでなく、インクルーシブな旅の選択肢を提供することで真の変化を促している。
もう一つ注目すべきなのはトヨタの「Mobility for All」キャンペーンだ。これは全ての人に移動の自由と楽しさを届けるための取り組みで、同社のオリンピック・パラリンピックのスポンサー契約に合わせて始まった。障害者や高齢者、移動に制限や困難のある人々の、あらゆるニーズに応える車両や技術の開発に焦点を当てている。
「ニッチ」な市場ではない
世界保健機構(WHO)の推計によると、現在13億人以上が重大な障害を経験しており、これは世界人口の16%に相当する。また国内外の企業や経営者のネットワーク「The Valuable 500」が発表した『2022 Valuable Truth Report』によれば、障害者とその友人や家族を合わせた購買力は13兆米ドルを超えており、大きな影響力を持つ市場だ。
「障害者を取り上げたコミュニケーションのオーディエンスは、障害者だけではありません。このことに気付くブランドがもっと増えればと思います」と語るのはオグルヴィ・シドニー(Ogilvy Sydney)で戦略ディレクターを務めるオリバー・ウィルソン氏。「パラリンピックはブランドにとって、このようなコンテンツに関心を持つ膨大なオーディエンスにリーチし、コミュニケーションの包摂性を高めるだけでなく、消費者を惹き付けるストーリーを伝えることができる絶好の機会です」。
さらに、パラリンピックのファン層は活発なコミュニティーでもある。メルトウォーターの分析がこれを裏付けており、投稿あたりのエンゲージメント数は@paralympicsアカウントが45000件と最も高く、@olympicsおよび@paris2024アカウントを上回っている。このエンゲージメントの高さは、パラリンピックコミュニティーがもたらすエネルギーの証であり、参加する価値のある刺激的な市場となっている。
「より多くのブランドがこの機会を認識してパラリンピックでのアクティベーションを増やし、その価値を理解しています」と、VML傘下のプリズム・スポーツ+エンターテインメント(Prism Sport + Entertainment)でマネージングディレクターを務めるシェーン・オサリバン氏は言う。「しかし一部のブランドは、パラリンピックのスポンサー権を十分に活用できておらず、パートナーシップの価値を最大限に引き出せずに機会を逃しています。初めて参加するブランドとその消費者は、このパートナーシップがもたらす変革の力や、大会後も障害者インクルージョンの勢いが継続していくことを容易に理解できるでしょう」。
継続的なインクルージョンの出発点
障害者は依然として、広告に登場することが非常に少ない。世界人口の20%近くが何らかの障害を抱えて生活しているにもかかわらず、スクリーンや主流な広告に登場するのはわずか1%だ。
障害者が広告に登場することは非常に少なく、その数少ない機会も有害なステレオタイプを引き続き助長するような、いい加減な描写であることが多い。
元パラリンピアンのディラン・アルコット氏(車いすテニス、車いすバスケットボール)は昨年、豪州で最も有名な10のブランドと協力し、広告に障害者が登場するのを当たり前にすることを目指す大規模なプロジェクト「Shift 20 initiative」を立ち上げた。
「私たちは同情の対象になりたくありませんし、インスピレーションの対象として見られることだけを望んでもいません。私たちはただ普通になりたいのです」。
同氏によれば、ブランドが広告で障害者を表現する最良の方法は、彼らが普通のことをしている姿を見せることだという。
「障害者といってイメージするのが金メダルを獲得したパラリンピック選手や事故に遭った人だけではなく、自分たちと同じような一人の人間を思い浮かべてもらえるように認識を変えたいのです」とアルコット氏。「そのためには、障害者が普通のことをしている場面、例えばマクドナルドで注文したり、銀行口座を開設したり、仕事に行ったり、下着を身に着けたりといった場面を人々に見せることから始めなくてはなりません。見えないものには、なれないのですから」。
障害者を起用した広告の優れた例として挙げられるのは、英テレビ局「チャンネル4(Channel 4)」がロンドン2020パラリンピックのために制作した「Super. Human.」だ。よくある「感動ポルノ」の表現を使いまわさず、障害のあるアスリートをスーパーヒーローとしてではなく普通の人間として描いている。
2012年のパラリンピック広告「Meet the Superhumans」が安易な「感動ポルノ」に成り下がっているという障害者コミュニティーからの批判を、同社が鑑みたことは明らかだ。そのため2020年大会の広告では、クリエイティブや制作の段階で多くの障害者に相談し、優秀な障害者アスリートだけでなく普通の障害者アスリートも登場させ、「Super」と「Human」と言うフレーズを意図的に区切った。
「ブランドはパラリンピックの期間中だけでなく、全ての広告で障害者の描写をより良くすることが必要です」と豪デジタルクリエイティブエージェンシー「スリック(SLIK)」のマネージングディレクター、サラ・ウッド氏は語る。「クリエイティブと制作のあらゆる段階で、実生活での体験を持つ人々から意見を聞くことが非常に重要です。私たちはパラアスリートやアクセシビリティーコンサルタントと協力して貴重な洞察を得て、デジタルアクセシビリティーがパラリンピック・オーストラリア(Paralympics Australia)のバーチャル募金イベントの要であることを確認しました」。
そしてパラリンピックは、ブランドが障害者についてのコミュニケーションを4年に1回でなく、年間を通じて行える出発点になり得るし、そうあるべきだろう。
「パラリンピックは、ブランドが大会後もアスリートのストーリーや行路を追い続けるための扉を開きます」とウィルソン氏。「またブランドにとっては、年間を通じたコミュニケーションを振り返り、ただコミュニケーション施策に障害者を含めるだけでなく、スポーツの文脈で、あるいはそれを超えて、これらのオーディエンスと効果的かつ敬意を持ったコミュニケーションを実現できているかを評価する機会でもあります」。