ブランディング専門会社のインターブランドは10月5日、「ベスト・グローバル・ブランド2016」を発表した。アップルやグーグルなどがトップを堅守する中、トヨタ(前年6位)が5位にランクインした。
今年で17回目の発表となるこのランキングは、グローバルに事業を展開するブランドを対象に、ブランドの価値を金額に換算して測定したもの。ブランディングがビジネスの成長にどう結実しているのかを明らかにし、成長しているブランドのパターンを分析している。
「ランクインしているブランドは、いずれもただ変化を乗り越えるだけでなく、自ら変化を起こしている」と話すのは、インターブランドのグローバルCEOジェズ・フランプトン氏だ。いずれもブランドとビジネスの成長のために、ブランドの内外に目を向けて新たな市場に進出し、より良いブランド体験を創出していると説明する。
このたびアジアブランドで初となるトップ5入りを果たしたトヨタは、ブランド価値が前年比で9%上昇。さまざまな企業努力が高く評価されたが、中でも特徴的なのは「存在影響度(Presence)」の高さだ。生産方式の改革である「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アキテクチャー)」の確立と訴求、86やFJクルーザーなど乗る楽しみを提供する製品に加え、消費者とのデジタルコミュニケーション、AIの研究開発のための新会社設立などの取り組みが奏功し、市場で際立ったブランドと認識されるに至った。
他にランクインした日本のブランドは、ホンダ(21位)、キヤノン(42位)、日産自動車(43位)、ソニー(58位)、パナソニック(68位)がある。ブランド価値が前年から22%上昇した日産自動車は、ブランドの柱となっている自動運転技術や、顧客接点体験の改善などといった、継続的なブランドへの取り組みが結実したもの。前年比+8%となったソニーは事業構造改革を経て、消費者への訴求力が高いVR(バーチャルリアリティー)やハイレゾなどの技術分野に集中したことが、ブランド復権につながったとしている。
著しい成長を見せたブランドはフェイスブック(15位、前年比+48%)、次いでアマゾン(8位、前年比+33%)だ。両ブランドとも、技術や環境変化への積極的な対応や、社内におけるブランド理解の向上などが、企業価値を押し上げた要因となった。産業として大きく成長したのは、イーベイやイケア、アマゾンが名を連ねるリテール部門(前年比+18.8%)であった。
Best Global Brands 2016は、こちらから。
(文:田崎亮子)