今年、世界のマーケターはソーシャルメディア広告に1120億米ドル(約12兆3000億円)を支出するが、その多くは誤った手法を取る −− フォレスターの最新調査でこのような結果が判明した。
同社アナリストによれば、「チーフマーケティングオフィサー(CMO)の3分の1弱は、ソーシャルメディアが自社のビジネスにどのような影響を及ぼしているか説明できない」。
報告書はこう指摘する。「マーケターはソーシャルメディアの本質をいまだに理解していない。当初は『デジタル時代に巨利を生む重要な手段』という妄想を抱き、それがうまくいかないとみるや、180度態度を変えて、使い道は広告だけと考えるようになった。確かにフェイスブックの最大のビジネス価値は、広告プラットフォームとしての側面だろう。だが、広告だけがソーシャルメディアの唯一の可能性と捉えるのは間違っている」。
さらに、こう続ける。「幅広いマーケティング目標を達成するためにはソーシャルマーケティングを『戦略』としてではなく『戦術』として捉え、他のチャネルと並行して戦略的にテクノロジーを活用すべきだ」。
ほかにも報告書では、多くのマーケターがなぜソーシャルメディアを誤用するのか、ソーシャルメディアのスキルをどう活用すれば企業は他のマーケティング機能を高められるか、などを詳述している。
後者に関しては、例えばUGC(ユーザーが作成するコンテンツ)をソーシャルメディアの枠外で活用することで効果を上げられるという。その代表例として挙げているのは、「Shot on iPhone」というアップルが行ったキャンペーン。ユーザーがiPhoneを使って撮った写真を広く公募し、その中から優秀な作品をテレビやビルボード、印刷広告などに流用した。
また、ソーシャルメディアはセンチメント(ブランドに対する市場や消費者の印象)を分析するツールとしても改善したと記す。その理由は、「プラットフォームがブランドヘルスをより正確に映し出す役割を果たしている」から。例えばツイッターならば、ブランドはネットプロモートスコア(顧客推奨度)や顧客満足度といった形で具体的なフィードバックを入手できる。
ピュブリシスグループの調査会社ゼニスは、2019年から22年にかけてのソーシャルメディアへの広告支出の伸びを13.8%と予測。オンライン動画(16.6%)に次ぐ高い成長率だ。
(文:オマール・オークス 翻訳・編集:水野龍哉)