インターパブリック・グループ(IPG)傘下のモバイルマーケティング・エージェンシー「アンシブル(Ansible)」社が、モバイル体験を提供する世界3500ブランドを対象に行う調査「モバイルインデックス」。その最新結果が発表され、国内で最もモバイルマーケティングに長けたブランドのトップ3はメルカリ、アマゾン、そしてドミノ・ピザとなった。これらに次いで4位となったのは、意外にもオランダのデニムブランド「ジースターロウ(G-Star Raw)」。更に、コーチ(Coach)、富士フィルム、アディダス、ソフトバンク、ピザハット、ソニーと続いた。
世界ランキングに目を向けると、ターゲット(米小売大手)、アマゾン、エクスペディア、エアビーアンドビー(Airbnb)、マイクロソフト、アゴダ(Agoda、ホテル予約サイト)、ラザダ(Lazada、東南アジア最大のオンラインマーケット)、ボーダフォン、アディダス、ネットフリックスがトップ10入り。今回の調査は、「見つけやすさ」「モバイルの最適化」「ナビゲーションとコンテンツの質」「ユーティリティ及びユーザビリティ」「ユーザーが望んだ行動にどれだけ直結するか」という5つのカテゴリーで、38万以上のデータポイントをベースに採点したもの。
トップ10にランクインしたブランドと他ブランドとの相違点は何だったのか。IPGメディアブランズのアジア太平洋地域担当チーフ・デジタルオフィサー、スコット・マクブライド氏に尋ねた。
同氏はまず、メルカリ、アマゾン、ドミノ・ピザ、ジースターロウのどれもが「モバイルユーザーに優れた価値を提供している」と指摘。金銭的な価値のみならず、ホームページ上の商品やプロモーションの表示の仕方、ユーザーレビューの有益性、支払いページの記入のしやすさなど、ディスプレイを含めた価値を意味する。日本のトップ10圏外のブランドは、製品の価値をアピールする点では決して見劣りしないものの、購入プロセスが複雑だったり、どこから購入ページに入っていくのかが分かりにくかったりしたという。
「日本の消費者がモバイルに期待しているのは他国の消費者と何ら変わらず、エキサイティングで、煩雑でないことです」。モバイル広告に対するブランドの支出意欲は高く、市場調査会社「eマーケター」によれば支出額は8010億円を超え、デジタル広告全体のほぼ7割を占める。「日本のブランドは明らかに、モバイルを通してユーザーとの関係を構築しようとしています」とマクブライド氏。
だが、全てのブランドがモバイルの活用法を十分に会得しているわけではない。例えば、楽天モバイルはトップ10に入らなかった。多くの国内ブランドは基本的要素を押えてはいるものの、「本質的なユーザー体験の提供という点で劣っています」。
ただし、ユーティリティとユーザビリティに関して日本のブランドはアジア太平洋地域の中で突出しており、その中央値は25.6点だった。「上質のプロモーションや高度な検索機能、有益なユーザーレビューといった、消費者がすぐに行動を起こしたくなるような価値を多くのブランドが提供している証しです」。
「一般論ですが、ブランドは消費者がモバイルで簡単にブランドと関係を構築できるようにしなければなりません」。グーグルの調査で、モバイルサイトを訪れた人のほぼ半分は、3秒以内にページが読み込まれなければそのサイトを離れるという結果が出たという。「これは非常に重要なポイントで、アジア太平洋地域の多くのブランドにとって、このハードルを超えるのは容易ではありませんでした」。
最後に同氏は、「購買プロセスを簡素化すべき」とブランドに助言する。これはクリックトゥーコールやライブチャット、分かりやすいナビゲーションメニューといった機能も含めての意だ。更にコンテンツからコンテンツへの切り替えや、書式への記入を「ユーザーが迷わず簡単にできるような配慮が必要です」。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:高野みどり 編集:水野龍哉)
2017年7月20日
モバイルフレンドリーなブランドから学ぶこと
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