アマゾン、売上増も前途に暗雲
アマゾンが第3四半期(7〜9月期)の決算を発表した。売上高は前年同期比15%増の1271億ドル、広告事業は25%増の95億ドル。「プライム」などのサブスクリプションビジネスも9%増で89億ドルだった。だが売上高はアナリスト予測の1274億ドルに届かず、営業利益も25億ドルに減少。これを受け、同社の株価は約19%下落した。
年末商戦を迎える第4四半期に向け、同社は新たな広告プロダクトを導入。ブランドが特定商品の販売でアマゾンを利用できる「リワーディッドスポンサードディスプレイ広告」や、アマゾンを余り利用しないブランド(レストランやジムなど)に向けた「スポンサードディスプレイ広告」、食品スーパー「アマゾンフレッシュストア」でのデジタルサイネージ広告などだ。
それでも、同社の第4四半期売上予測は1400〜1480億ドル(前年同期比2〜8%増)、オンライン売上高は2.5%増。アナリスト予測を大きく下回る。
ディズニー100周年、イベントが続々
来年、創立100周年を迎えるウォルト・ディズニー社のイベントが欧州でスタートした。先週、ロンドンで開かれたのは「ディズニー100:ザ・コンサート」。ディズニーランド・パリや『ライオン・キング』のキャストによるパフォーマンスが披露された。今後も数々のエクスペリエンスやエキシビション、コンサート、新たなプロダクトの展開などが予定されている。
来年5月末から6月初旬にかけては、ハリウッド・サウンド・オーケストラが全英をツアー。『美女と野獣』『メリー・ポピンズ』『ミラベルと魔法だらけの家』といった新旧代表作のテーマを奏でる。「ディズニー100:ジ・エキシビション」では映画製作に使われた原画やコスチューム、小道具などを展示。2月に米国でスタートした後、4月からドイツ・ミュンヘン、秋にはロンドンを巡る。
Z世代や若年層に向けては、「ワンダー・オブ・フレンドシップ:ジ・エクスペリエンス」を企画。『不思議の国のアリス』『ライオン・キング』などをテーマとした4つの展示室から成るインスタレーションで、「五感に訴え、没入感に浸れるエクスペリエンス」(ディズニー)という。皮切りはやはりロンドンだ。
さらには「ワンダー・オブ・プレー」と称した新しいプロダクトのグローバルキャンペーンも。公式オンラインストア「ショップディズニー」では「ディズニー100:ディケイド・コレクション」と称し、1920〜40年代の名作に因んだ新たなグッズを展開する。
ディズニーEMEA(欧州・中東・アフリカ)でブランド及びフランチャイズマーケティング戦略担当バイスプレジデントを務めるニコル・モース氏は、ザ・コンサートの終了後にこうコメント。「『アナと雪の女王』や『バズ・ライトイヤー』を見れば、子どもたちは顔を輝かせる。不思議な世界がもたらす感動は普遍的で、誰もが理解しています。これまでディズニーは、100年にわたって世界中のファンに特別なストーリーとキャラクターを届けてきた。それを祝いつつ、新たなマジックを生み出す次世紀に向けて、今夜は最高のスタートが切れたと思います」
「元難民」からワールドカップ代表へ
今月開幕するサッカー・ワールドカップにカナダ代表として出場するアルフォンソ・デイヴィス選手。独ブンデスリーガの常勝チーム、バイエルン・ミュンヘンに所属する快速サイドバックは、ガーナの難民キャンプで生まれ育った過去を持つ。
このデイヴィスを題材に、ナイキがキャンペーン用のドキュメンタリーを制作した。「ホーム(Home)」と題したシリーズの一環で、スポーツがいかに1人の人生を変えるかを描く。フィーチュアされるのは、社会に「居場所のない」アスリートやコミュニティー。彼らがスポーツを通して自己の価値を見出す姿を描く。
デイヴィスの両親はリベリア出身。内戦を逃れてガーナの難民キャンプで暮らした。彼が6歳の時、家族はカナダに移住。サッカーを始めたデイヴィスは15歳でメジャーリーグサッカー(MLS)のバンクーバー・ホワイトキャップスとプロ契約し、カナダ国籍を取得。2019年に名門バイエルン・ミュンヘンへ移籍すると、一気に頭角を現し、ブンデスリーガの年間ベストルーキーにも選ばれた。
動画の冒頭で彼はこう語る。「難民になる可能性は誰にでもある。自分では選べない道なのだから」。そして、「サッカーグラウンドは僕にとって初めての居場所だった」とも。
動画はサッカーに興じる彼の姿や過去の写真、そして試合の映像などで構成。「難民は過小評価されている」という言葉も印象的だ。
ユーチューブ上で見られるこの作品は「ホーム」シリーズの第2作。1作目ではベルリンにあるサッカーのコミュニティーリーグを題材とし、様々な出自を持つ子どもたちがスポーツを通して生き甲斐を見出す様を描く。
2023年トレンドは「攻めの安・近・短」
博報堂生活総合研究所が生活者(消費者)による2023年のヒット予想をまとめた。それによると、キーワードとして浮かび上がったのは「攻めの安・近・短」。安価・安心、近場・身近、そして短時間・手軽に得られる情報や成果が重視される傾向がわかった。
調査はインターネットで行われ、15〜69歳までの男女1008人が対象。今年注目された商品やサービス、コンテンツなどから来年以降ヒットしそうなものを選んでもらい、ポイント化した。
1位となった「国内旅行」、2位「有料動画配信サービス」、5位「eスポーツ」などは「近」を象徴。3位「フードロス削減」、5位「節電グッズ」は「安」に加え、社会的課題への意識の高まりも示唆する。また、8位「ショート動画」や18位「TVer(ティーバー、民放テレビ局が共同で提供する無料動画配信サービス)」などは「短」をよく表す。
昨今、日本社会のポジティブな動向として挙げられるのはコロナ感染者の減少傾向、インバウンドの解禁、国内の観光支援策などだ。その反面、感染再拡大や物価高騰への懸念は厳然として根強い。こうした状況を受け、生活を守りつつも積極的に楽しみたいという消費者意識が調査結果には反映されている。
(文:水野龍哉)