Ryoko Tasaki
2021年3月12日

世界マーケティング短信:ダイバーシティー時代の表現

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

世界マーケティング短信:ダイバーシティー時代の表現

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。


「ガラスの天井」は破られたか?

2017年にニューヨークのウォール街に設置され、カンヌライオンズ最高賞などを受賞した銅像「恐れを知らない少女(Fearless Girl)」の周りに今年、粉々に割れたガラスが国際女性デー(3月8日)に合わせて設置された。女性の進出を阻む「ガラスの天井」を、女性たちが次々と壊し続けていることを象徴したものだと、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのスティーブン・ティスデールCMOは語る。像はもともと、雄牛の像「チャージングブル」と対峙するように置かれていたが、2018年に現在のニューヨーク証券取引所前に移設された。

 

女性のための奨学金設立、だがそのツイートが炎上

バーガーキングは英国で「女性はキッチンにふさわしい」とツイートし、炎上騒ぎに発展した。このツイートには「もちろん、彼女らがそれを望めばの話だが」という続きがある。米国のシェフのうち女性はたったの24%、料理長クラスになると7%未満であることを指摘し、女性従業員を支援する奨学金を新たに立ち上げたことを報告する内容だった。

だが、ショッキングな文言のみが記された最初のツイートが独り歩きする形で、公式アカウントには批判が集中した。ケンタッキーフライドチキンのゲーム部門KFC Gamingが「投稿を削除する最適なタイミングは、投稿直後だった。二番目にベストなタイミングは、今だ」とツイート。すると、バーガーキング側は「業界内で女性が大幅に不足しているという事実に注目するツイートを、なぜ削除するのですか? あなたもこの動きに参加すると思っていましたが」と反論した。

バーガーキングを管理するレストラン・ブランズ・インターナショナルのグローバルCMO、フェルナンド・マチャド氏も個人アカウントで釈明や謝罪を続けた。バーガーキング側が謝罪し、元のツイートを削除したあとも、マチャド氏のアカウントには批判が寄せられている。

 

多様性を象徴するフォントを公募

コンテンツスタジオ「ディスティラリー」は、ダイバーシティー・スタンダード・コレクティブと協働し、クリエイティブ業界におけるダイバーシティー&インクルージョン(多様性と包括性)の欠如に取り組むプロジェクトを立ち上げた。アルファベット大文字、数字、記号など全42文字の、「ダイバーシティーの公式書体」を作成することを目指す。4月18日まで広くアイデアを募り、その後、作成された書体は5月21日(対話と発展のための世界文化多様性デー)から、誰でもダウンロードできるようになる予定だ。

 

米国でアジア系などへの暴力事件が急増

クラウドファンディングプラットフォーム「ゴーファンドミー(GoFundMe)」が、アジア系へのヘイトをやめるよう呼びかけるキャンペーン「#StopAsianHate」を実施している。集まった資金は、アジア系や太平洋諸島系のコミュニティーへの支援団体に寄付される。米主要都市でのアジア系や太平洋諸島系の人々に対する暴力は、ここ1年で約2.5倍に急増した。

 

【お知らせ】

Campaign Asia-Pacificは、マーケティング・コミュニケーション領域で高い技術力を持つ人材や、技術面において革新的なプロダクトを表彰する「テックMVP 2021」を立ち上げます。アジア太平洋地域が対象で、エントリー締切は4月9日。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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