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動物を起用したCMがブランドリスクに
春節(旧正月)を迎えた中華圏では、干支にちなみトラがモチーフの広告が数多く展開されている。だがその中の一つ、グッチのキャンペーンが物議を醸しており、アニマルウェルフェア(動物の身体的・心的状態)に対する消費者の変化が読み取れる。高級な服に身を包んだ人物が豪華な部屋の中でお茶を楽しみ、その横にはトラが、まるでペットのように佇んでいる。これに対して「動物は営利目的のために見せびらかすものではない」と異を唱えるのは、世界動物保護協会の野生生物キャンペーン責任者であるニック・スチュワート氏だ。
「動物が実際にそこにいたのか否か、トラがピアノの上で寝そべっていたのかどうかに関わらず、動物の商品化を助長するマインドセットを煽っています。本物の野生生物の画像をキャンペーンで使いたいならば、彼らが生息する自然の中で、人間との直接の接触が無い中で行うべきです」。キャンペーンによって野生生物の取引を不用意に刺激する可能性が無いか、ブランドやエージェンシーは十分に検討する必要があるという。
国連開発計画(UNDP)のグローバル・エンゲージメント&パートナーシップ担当マネジャー、ボアズ・パルディ氏は「変化が見て取れる」と語る。「我々が望むほどに速くはないが、変化は間違いなく起こっています。今日の消費者は環境への影響や持続可能性、製品の実際のコストやダメージについて、より意識するようになりました」。
グッチはライオンズシェア(The Lion’s Share)基金に加盟し、広告費の一部を寄付している。スチュワート氏は「寅年にちなんだ広告を展開したさまざまなファッションブランドと同様に、グッチも絶滅危惧種やその生育環境の保護を資金面で支援しています。しかしこれを今、同社のビジネス全体に反映する必要があるのです」と述べる。パルディ氏も「消費者の需要がこれらの広告から離れてきていることを認識し、同社もこのような広告をやめることを望んでいます」と語った。
音楽配信サービス、ワクチン誤情報拡散で明暗が分かれる
新型コロナワクチンの誤情報をめぐり、音楽配信サービス「スポティファイ」への抗議が相次いでいる。ジョー・ローガン(コメディアン)がホストを務めるポッドキャストでワクチンに対する見解を語ったが、これが誤情報を拡散していると270名の専門家が公開書簡にて指摘。さらにニール・ヤング(ロック歌手)らが、同社での楽曲配信を取りやめた。ツイッター上では「#SpotifyDeleted(スポティファイ削除)」というハッシュタグがトレンドに。スポティファイCEOのダニエル・エク氏は先日、ポッドキャストに注意喚起を追加することを発表した。
この騒動が追い風となったのが、アップルミュージックだ。アプリ内でニール・ヤングや、同じくスポティファイからの楽曲引き上げを決めたジョニ・ミッチェル(シンガーソングライター)の特集ページを設置している。
電通ジャパンネットワークがCDOを新設
電通ジャパンネットワークはDE&I(多様性、公平性、包摂性)の推進を強化するためチーフ・ダイバーシティ・オフィサー(CDO)を新設し、執行役員の北風祐子氏が就任した。今後電通グループや顧客企業、社会におけるDE&Iを、グローバルの視点で推進していく。
北風氏は1992年に電通に入社し、2008年には「ママラボ」を創設。クリエーティブ局長を経て2022年1月より現職。著書に『インターネットするママしないママ』『Lohas/book』、共著に『買いたい空気の作り方』がある他、自身の乳がん罹患の経験をつづった「乳がんという『転機』」を連載している。
スーパーボウルのティザー広告が続々公開
2月13日に開催されるスーパーボウル(アメリカンフットボールの優勝決定戦)は、そのスポットCM枠が世界一高額だといわれる。今年の相場は30秒スポットで650万米ドル(約7億5000万円)と最高額を記録した。開催まで2週間を切り、数々の広告主企業がティザー広告を展開中だ。
その中の一つ、楽天のティザー広告ではハンナ・ワディンガム(女優)が、勝利して最後に笑うための練習を行う。
その他の作品についてはこちら(英語)。
(文:田崎亮子)