※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
Campaignが注目したスーパーボウルCM
世界一高額なスポットCM枠といわれるスーパーボウル(アメリカンフットボールの優勝決定戦)は、力作(あるいは失敗作)のCMが毎年話題になる。COVID-19が猛威を振るう中で行われた今年は、一部の広告主がCM放送を見合わせた他、放送を決めたブランドもリスクをあまり冒さない「安全策をとった」作品が多く見られた。そんな中で存在感を放った作品をいくつかご紹介する。
T-モバイルのコメディータッチなCMに登場するのは、実生活でも交際しているグウェン・ステファニー(歌手)とブレイク・シェルトン(歌手)。2人が付き合うようになったきっかけを振り返るもので、好みの男性のタイプについて「ロサンゼルスの人にはうんざり。まったく違うタイプの人…たとえば他の国の人とか。文化的で繊細で、自信満々の女性に脅かされていない人がいい」と電話で伝える。だが、相手の5G回線が途切れがちだったために、紹介されたのはその全く逆のタイプの男性だった……。
続いてご紹介するのは、スマートスピーカーの理想像への妄想が暴走するアレクサのCM。「理想の筐体」を演じるのは、マイケル・B・ジョーダン(俳優)。照明を暗くするように頼むと服を脱いでランプにかけ、バスタイムには官能的な小説を読み上げる。どんどん夢中になっていく妻と、慌てふためく夫の様子が笑いを誘い、公式チャンネルには「何度見ても笑ってしまう」といったコメントが多く寄せられている。(同社スマートスピーカーと同様に、目のまわりを青く光らせているのも芸が細かい)
必ずしも成功とは言えなさそうな作品も、一つご紹介する。乳製品の代替品を販売するオートリー(Oatly)のCMで、オーツ麦の畑で歌うのは同社のトニー・ピーターソンCEO。60秒スポットの枠だが、10秒ほどで映像配信にトラブルが発生したかのように、また最初に戻り、これが延々と続くのだ。社名と、同社製品が牛の乳を使っていないことは強烈に刷り込まれるだろうが、はたしてイメージ向上に役立ったのだろうか…?
その他、Campaignが注目した作品についてはこちら(英語)。
ツイッター、第4四半期の広告売上高が10億米ドル超え
米ツイッター社が発表した第4四半期決算によると、売上高は12.9億米ドル(前年同期比28%増)、最終利益は2.2億米ドル(同87%増)。全体の9割を占める広告の売上高が、11.6億米ドル(同31%増)と好調であった。同社のジャック・ドーシーCEOは「第4四半期は新しい広告フォーマットやアトリビューションの向上、ターゲティングの改善によって大きく進歩し、この勢いは第1四半期も続く」とアナリストに語った。
博報堂プロダクツ、元社員の不正で約27億円の特別損失
博報堂プロダクツの社員(当時)が2016年から4年間にわたり、会社の名義で金券や商品券を購入して現金に換金し、業務とはかかわりのない発注の支払いに充てたり、一部は個人的に使用していたことが明らかになった。発注先からの残高確認によって昨年12月に事態が発覚し、同氏は1月29日付で懲戒解雇となっている。同社は特別損失として、約27.1億円を計上する。
メディアプランをAIで徹底的に最適化
WPPグループのウェーブメーカーが、複雑なメディアプランを数分間で作ることができる人工知能(AI)「マキシマイズ(Maximize)」を展開する。クライアントが所有する1stパーティーデータや、ウェーブメーカーの「モメンタム」データなど、さまざまなデータを活用した分析が可能で、目標に応じた1億件ものメディアプランの中から「極限まで最適化した」プランを提案する。「どのメディアプランも同じように見えてしまうという、この業界が長く抱えてきたフラストレーションに、マキシマイズは取り組みます」と、グローバルCEOのトビー・ジェナー氏は語る。
通電首輪はしつけか、虐待か?
犬のしつけ用に電気ショックを与える首輪は動物への虐待だとみなし、禁止している国もある。シンガポールの動物保護団体「SPCA」が、同国でもこの首輪を禁止するよう呼びかける広告を展開した。
「シンガポールで最もタフな人々」の代表として、ウェイトリフティングやボクシングなどで活躍する屈強なアスリートたちが、犬用の強力な通電首輪を腕に装着。通電すると、苦痛に顔をゆがめる彼らの表情に、「最もタフな人たちが受け入れられないような苦痛ならば、彼ら(犬たち)にも与えられるべきではない」という文字が重なる。制作はフォースマン&ボーデンフォース・シンガポール(プロボノ活動の一環として)、プロダクションパートナーはヘックラー&フューズ。
(文:田崎亮子)