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AIが生成した偽のトム・ハンクス、CMに登場
トム・ハンクス(俳優)が、自身の偽物が登場するAI生成のCMが出回っていると、インスタグラム上で警告を発信した。同氏が歯科保険について宣伝する動画が同意なく生成され、「私は一切関係ありません」と訴えている。
同氏はこれまでにも、AIが映画業界に及ぼす影響について言及してきた。5月にポッドキャスト番組に出演した際には「明日バスに轢かれて人生が終わったとしても、私のパフォーマンスは永遠に続くということも起こり得る」と語り、「それがAIやディープフェイクで生成されたと知らなければ、私本人ではないと知る由もない。ある程度本物のような品質を実現することになり、これは芸術の面でも法的にも課題となります」。
AIの進化に伴う映画関係者の懸念は高まっており、春から全米脚本家組合(WGA)が行ったストライキの争点でもあった。また音楽業界でも、AIが生成した音楽は物議を醸している。4月にはドレイク(Drake)とザ・ウィークエンド(The Weeknd)を模倣した楽曲がティックトックで話題になったが、その後ユニバーサル・ミュージック・グループが著作権侵害を理由に削除を要請した。同社はその後グーグルと、AIで合成した音声やメロディーのライセンスについて協議。8月にはユーチューブが公式ブログで、音楽業界と協働しながら、AIを活用した著作権侵害対策機能「ContentID」に引き続き投資していく方針を明らかにした。
Reddit、パーソナライズド広告のオプトアウトが不可能に
米国発のソーシャルニュースサイト「レディット(Reddit)」は、広告のパーソナライゼーションのオプトアウト(無効化)ができなくなると発表した。同社のプライバシー担当責任者であるユッタ・ウィリアムズ氏は、ユーザーの大多数は「表示される広告には何の変化も感じないだろう」、そして以前オプトアウトしていたユーザーも「広告が増えたり、自分のアクティビティーが広告主と共有されることはない」と説明する。また「今回のアップデートによって、私たちのデータ収集や共有の方法が変更されることはありません」とも。
オプトアウトはできなくなるが、アルコール、減量、ギャンブル、デートといった特定のカテゴリーについては、表示されにくくなるよう設定できるとも発表。とはいえ、表示を減らすのみであって、完全に見えなくするものではない。
なお、今回のアップデートは一部の国では適用されないが、詳細については明かされていない。だが今回の方針転換によってGDPR(EU一般データ保護規則)に違反すると見込まれるため、EUは適用外になる可能性がある。同様の例ではメタが、フェイスブックやインスタグラムのターゲティング広告のGDPR違反で制裁金を科されており、広告無しの有料プランを検討していると先日報じられた。
レディットは今年6月、APIを有料化したことが反発を招き、7,000以上のサブレディット(コミュニティー)がブラックアウトと呼ばれる抗議活動を行った。また2021年12月には、同社が新規株式公開(IPO)を申請したことも報じられている。
ピュブリシス、週3日の出社を義務付け
ピュブリシスの全社員は1月から、自社あるいはクライアントのオフィスに週3日以上の出社が義務となる。アーサー・サドゥーンCEOが社内向けに語った動画によると、月曜日の出社は必須で、連日の在宅勤務は許可されなくなる。ただし医療上の理由や、リモートワークの契約を結んでいる場合は尊重されるという。
パンデミックが始まって約3年が経ち「リモートワークの負の側面が、サイロ化やコラボレーションの減少、創造性の阻害、イノベーションの減少、生産性の低下につながっていることを認めざるを得ない」とサドゥーン氏。「私たちは一緒にいるときに最高の状態になれると心から信じています。お互いをサポートし、刺激を与え合い、思いやりを持つことができるのです。これらのことを画面越しに行うことは不可能ではありませんが、実際には難しくなることを認めるべきだと思います」。そして、今こそが在宅勤務とオフィス勤務の適切なバランスを模索すべき時期だと説く。
同社は、事業所のある場所で最長6週間まで働ける「Work Your World」というプログラムを2022年1月から導入するなど、柔軟な働き方の実現に取り組んできた。だが今年8月、デジタル部門を対象に週3日の出社を義務付けている。
DDBワールドワイドのグローバルCEOにルーバー氏
DDBワールドワイドのグローバルCEOを務めたマーティー・オハロラン氏が会長に就任し、後任にはアレックス・ルーバー氏が就く。ルーバー氏はBBH、グレイ、マッキャン・ワールドグループの北米担当プレジデントなどを経て2022年10月からDDBのグローバルプレジデント兼COO。
またDDBのグローバルプレジデント兼COOには、グレン・ロマス氏(現EMEA担当CEO)が就任する。
2020年9月に電通イージス・ネットワークに移ったウェンディ・クラーク氏の後任として、グローバルCEOを務めてきたオハロラン氏は、「この役割を引き受けた際に、決まった期間だけと常に言ってきました」と明かす。パンデミックの真っただ中だったため、DDBの未来を見据えた事業計画を策定し、「『4年間この仕事をして、後継者を見つけて引き継ぐことを約束します』と言い、それを念頭に12カ月前にアレックス(・ルーバー氏)を採用しました」と振り返る。
(文:田崎亮子)