マッキャン・ワールドグループがアジア太平洋(APAC)、北米、中東・北アフリカ・トルコ地域(MENA)における新たなリーダーシップを発表した。日本法人のCEOには同社代表取締役で、APACのCFO(チーフフィナンシャルオフィサー)を務めるジー・ワトソン氏が昇格する。
ワトソン氏のマーケティング業界におけるキャリアは30年余り。ターナー・ブロードキャスティングやコカ・コーラ、サムスンといったクライアント側で20年以上を過ごした後、エージェンシーの世界へ。オグルヴィに7年間在籍し、2016年、マッキャン・ワールドグループAPECに入社した。
マッキャン・ワールドグループのグローバル会長兼CEOのビル・コーブ氏は、ジー氏について以下のように語る。
「ジーはAPACにおける事業成長・拡大の中心的役割を担っています。過去2年間、マッキャンAPACはスケールの大きさと専門性を生かし、クライアントに最適なソリューションを提供してきました。そして各市場の強力なリーダーシップの下、事業強化に注力した。ジーのこれまでの経験と日本市場の専門知識は、我々のAPACにおける成功に不可欠なのです」
前日本法人CEOのアントニー・カンディー氏は、同社を日本市場で電通と博報堂のライバルにしていくことを期待された。コーブ氏は今の目標を以下のように表現する。「日本で我々が目指すのは、クライアントに選択肢を与えること。国内エージェンシーが席巻する市場では、国内外での競争力維持を目指すクライアント企業はグローバルスタンダードと完全な透明性、そしてネットワーク力を備えたエージェンシーを必要とするはず。我々の立ち位置は独特で、こうしたグローバル性を求める日本企業をサポートできる。まさにこの点こそが、我々の優位性なのです」。
日本の大手エージェンシーと競うため、マッキャンはこれまでスペシャリストの育成に重点的な投資を行ってきた。その結果、「MRMやマッキャンヘルス、クラフト(いずれも傘下のエージェンシー)は素晴らしい成果を上げてきた」と同氏。
ジー氏の複数にわたる役職については、「こうした各エージェンシーのCEOが彼女をサポートしていくので、懸念はありません」。
「ジーの仕事は引き続き、(傘下の)エージェンシーブランドの統合を進めていくこと。そして世界や日本のクライアントに、最善のビジネスモデルを提供することです」
また、新たな人事では以下の案件も発表された。2019年からマッキャンAPACプレジデントを務めるアレックス・ルーバー氏は、北米マッキャンのプレジデントに。中東コミュニケーションズ・ネットワーク(マッキャンとインターパブリックグループのMENAにおけるパートナーネットワーク)のグループCEOを務めるガッサン・ハーフウシュ氏は、ルーバー氏を引き継いでマッキャンAPACのプレジデントを兼務していく。
(文:マシュー・ミラー 翻訳・編集:水野龍哉)