Dagmar Bennett
2024年7月18日

私がカンヌで体験した「セクシャルハラスメント」

今年のカンヌライオンズでフリーランスのテレビディレクター、ダグマー・ベネット氏はセクシャルハラスメントを受けた。「男性こそがこうした行為を撲滅する運動の先頭に立つべき」 −− その体験と意見を綴る。

私がカンヌで体験した「セクシャルハラスメント」

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

「あなたにお金をあげたら、私とセックスをしてくれますか?」。それは、ある年配の男性と新しいビジネスの可能性について話し合った直後のことだった。彼は握手をしながら、突然こんなことを言ったのだ。

彼は私の目をじっと見つめながらその言葉を繰り返し、「あなたにお金を渡せば、私はあなたとセックスをする権利がある」と主張した。その数分前には、彼の関わるビジネスや彼の妻について話をしていたのだ。私は唖然として言葉が出ず、握手をしながら彼を見つめ続けた。自分の耳を疑い、甚だしい性的な侮辱に対する怒りで体が震えた。仕事の場で、揺るぎない自信をもって私を商品のように扱う男に出くわしたのだ。

この時、私の同僚の男性はすぐそばにいて、全く異なる経験をしていた。2人の対照的な体験は、業界に蔓延する性差別の問題を浮き彫りにした。

この出来事は、カンヌライオンズ2日目の夜のことだった。私はブリクストン・フィニッシング・スクール(英国の広告・マーケティング専門学校)を代表し、会場近くのバーで業界のプロフェッショナルたちとネットワーキングを行っていた。そこにはカンヌライオンズの受賞者を含め、あらゆる才能があふれていた。ネットワークがあまりにも錯綜していたため、私は時に孤独を感じ、自分が何者でもないような感覚にも陥った。

フェスティバルでの大半の時間は、ネットワーキングやクライアントとのミーティング、業界のパーティーに費やされた。そして私の関心事の多くは、多くの女性にとって日常的なこと −− その日の装いや1人でタクシーに乗って安全に宿舎に戻ること −− だった。私はあの日の出来事を頭の中で繰り返し考え、現実を疑い、何とか理解しようとした。「あれは本当に起きたことなのだろうか。彼は本当にあんなことを言ったのだろうか……」

「真実は人を自由にする」というが、女性にとってはそうでないことが多い。セクシャルハラスメントや女性差別について発言すると、私たちはしばしば批判の矢面に立たせれてしまう。これまでの経緯が示すように、声を上げた女性は嘘つき呼ばわりされ、非難され、支持者を失い、時にいじめにもあう。真実を語ることで仕事や経済的安定、キャリアを失う可能性があるのだ。これは「自由」から程遠い、ある種の「罠」だ。

反発への不安は大きかったが、私は自分の経験をLinkedInに投稿し、広く世間に訴える道を選んだ。私が声を上げることができたのは、上司たちが100%サポートしてくれたからだ。残念ながら、誰もが私のように職場からのサポートを得られるわけではない。投稿は結果的に、業界の男女双方から絶大な支持を受けた。こうしたハラスメントがカンヌに限ったことではなく、業界に蔓延している実態を浮き彫りにしたのだ。

私の仲間の多くも、カンヌで様々な性差別や人種差別に直面した。つまり、業界のより幅広い問題が浮き彫りになった。これらの話を全て語るつもりはないが、事実を認識することは極めて重要だ。この事実はカンヌだけでなく、私たちの業界全体で起きているのだ。だが、カンヌライオンズは「希望の光」となり、変革を生むきっかけにもなり得る。

私たちの多くは、「バブル」の中で隔離されているように感じる。差別に直面している友人や同僚がいなければ、その苦しみを理解することは難しい。差別は私たちの身の回りで起きている。豪華なヨットの上でビジネスの話をしていても、そのすぐそばで誰かが差別に直面している可能性は高いのだ。カンヌライオンズなどの業界イベントに参加したら、華やかさの裏でそうした人々が常にいることを忘れないでほしい。

カンヌではジェンダー平等に関するトークセッションが数多く開かれた。だが、平等を推進しようとする女性たちの努力にもかかわらず、会場には男性の姿がほとんどなかった。男性はどの会場にも1人か2人しかいなかった。女性たちは結果的に、「改宗者」にだけ話をしていたのだ(セクハラに関するシンディー・ギャロップ氏のレクチャーでは、出席者は男女同数でやや希望が持てたが……)。

ジェンダーの議論ではしばしばインターセクショナリティー(交差性)が見落とされ、ノンバイナリーやトランスジェンダーのコミュニティーは無視されてきた。

カンヌライオンズはイノベーションとインスピレーションにあふれた素晴らしいフェスティバルだ。是非、実際に現場を体験していただきたい。だが、クリエイティビティーとは別の次元で、私たちの業界では早急な変革が求められている。

行動を変えねばならないのは男性であり、女性ではない。ジェンダー平等に賛同するマネジメント職の男性は、職場の男性を鼓舞し、様々な取り組みを率先していかねばならない。そして誰もが尊重され、安全に感じるような職場環境をつくっていかねばならない。

私が経験したような出来事が女性にどのような影響を与えるか、そして男性が今、どのような行動を起こさねばならないかを世に知らしめることが肝要だ。

セクシャルハラスメントの当事者として、私はその重荷と変革推進の責務にストレスを感じる。私は男性たちに、この変革を率先し、責任を取るよう求めたい。

男性たちがオープンに話し、学び、説明責任を取り、仕事への姿勢と職場文化を積極的に変えていく −− カンヌライオンズはそんなプラットフォームと機運を生み出していかねばならないのだ。

ジェンダー平等を推進してくれる男性の皆さんには、是非声を上げ、行動していただきたい。


FRSA(英国王立技芸協会が個人に授与する栄誉称号)を持つダグマー・ベネットはフリーランスのTVドキュメンタリーディレクターブリクストン・フィニッシング・スクールのパートナーシップ・ディレクターも務める

業界団体「タイムトゥー(TimeTo)」はうした問題に直面し人々をサポートし、ガイダンスを提供る。今年のカンヌライオンズに先立ち、同団体は主催者と共同でイベント期間中及びその前後に起きるセクシャルハラスメントへの防止策・対応策のガイドラインを作成した。

カンヌライオンズのDEI担当責任者、フランク・スターリング氏は次のように述べる。「ベネット氏が自分の体験を話してくれたことに感謝し、彼女が名乗り出たことを称賛したい。我々は今後も努力を続け、タイムトゥーのような業界パートナー・組織と協力し、セクハラを根絶するグローバルコミュニティーと連携していきます」

我々あらゆるコミュニティカンヌライオンズへの参加を歓迎し、全ての参加者包括する安全なプラットフォームづくりを積極的に進めていきます」

提供:
Campaign UK

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