エデルマン・ジャパンが実施した意識調査によると、2020東京五輪に向けた訪日外国人の受け入れ準備が進んでいると感じているのは、たったの16%(全国平均)だという。
今年日本を訪れた観光客は、すでに10月末時点で約2400万人。日本政府は訪日外国人観光客の目標を2020年までに4000万人としている。調査では「住んでいる地域は、訪日外国人の受け入れ準備が進んでいるか」という質問に対し、大阪では30%が「進んでいると思う」と回答した。長い間、京都や東京の人気に敗北を喫してきた大阪だったが、近年は人気が急上昇し、今年度の来阪者数は1100万人に近づく勢いだ。
その一方で、受け入れ態勢が十分整っていると回答した人が、東京(22%)や京都(20%)では低く、北海道にいたってはたったの4%だ。エデルマン・ジャパンでパブリック・セクター/パブリックアフェアーズ部門の責任者を務める廣野貴士氏は、プレスリリース内で「訪日外国人の受け入れは、インフラなどハード面と、エンターテインメントや娯楽施設といったソフト面の両面で整えていく必要がある」と指摘。また、「受け入れ準備の状況認識を地域住民に浸透させることを通じ、2020年への気運を早急に高めること」も必要だという。
受け入れ準備の中でも特に関心が高かったのが、外国語に対する準備だ。「受け入れ準備は進んでいると思う具体的な事象」として、最も多く挙げられたのは「街の案内や標識などの英語化・多言語化が進んでいると思う」(36%)。他には、お店や行政サービスで見かける外国語の説明書や、外国語を話せる人が増えていること、外国語の習得に意欲的な人が増えていることなども挙げられている。なお、2020年に向けて個人レベルで何らかの準備をしていると回答した人たちが、もっとも多く取り組んでいるのも「外国語の習得」であった。
日本の宿泊施設の不足は広く知られているが、回答者の11%が民泊サービスを検討中か、すでに展開しているという。また、受け入れ準備が進んでいると住民が感じている地域の方が、個人レベルでの取り組みを行っている率が高いことも、今回の調査で明らかになった。
調査は16~69歳までの男女700人に対し、10月6日~10日にかけて実施された。
なお、大阪の人気は、三菱総合研究所が外国人旅行者に対して実施したアンケート調査にも表れている。1年間で702万人が、大阪市内の難波・心斎橋エリアに足を運んだ。これは訪日外国人旅行者全体の約3割に当たる数字だという。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)