Jyoti Rambhai
2024年7月18日

あらゆるものを測定するという状況に、我々は麻痺しているのだろうか?

膨大な数の測定ツールや技術が存在する中で、マーケターは何でもかんでも測定するのではなく、ブランドの価値を高めるのに役立つ測定フレームワークを見つける必要がある。

あらゆるものを測定するという状況に、我々は麻痺しているのだろうか?

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

グーグル(Google)のCookie廃止とAIの出現により、マーケティング業界は急速に変化している。さらに生活費危機と世界的なインフレもあり、マーケティング予算はここ1年圧迫されてきた。誰もが自分たちの価値を証明しようと、測定に注目しているのは不思議ではない。

数週間前、私はアドバタイジング・ウィーク・ヨーロッパ(Advertising Week Europe)に参加したが、何百人ものマーケターの中でホットな話題となっていたのは測定だった。データ&マーケティング協会(DMA)のトニー・ミラー会長はセッションの中で、189を超える測定ツールが利用できるため「その中で何が有意義なのかを、誰が理解できるのでしょうか?」と述べた。

測定ツールは、ビジネスにおける効果、ブランド、キャンペーン、レスポンスの4つのカテゴリーに分類される。

「測定対象が急増し、私たちが測定するもののうち69%は、キャンペーン測定とレスポンス指標の奥深くに埋もれています」とミラー氏。「ブランドやビジネスのことが忘れられがちです。成長の機会がどこにあり、業界として英国が注力すべき分野はどこなのかを考える際に、本当に重要なのはブランドとビジネスといった指標だと思います」。

「私たちは、あらゆるものを測定するという状況に麻痺しており、細部にとらわれて全体を見ていません。これが事業と業界の方向性に悪影響を及ぼしていると私は考えています」。

5〜10年前は、特定の時間と場所で膨大な数の消費者にリーチするために、テレビ、ラジオ、OOH(屋外広告)が幅広く使われていた。それがBVOD(英放送事業者によるネット配信)、AVOD(広告付き動画配信)、CTV(コネクテッドTV)といったストリーミングプラットフォームや、プログラマティック、デジタルOOHの台頭により、従来の広告チャネルでさえも測定対象になりつつある。

サンバTV(Samba TV)の企業パートナーシップ担当バイスプレジデントであるアンディ・ビームズ氏は数年前、「この年にテレビ広告に新規参入した広告主は1,200社ほど」に上り、「おそらく以前は予算的にテレビ広告に手が届かなかったため、デジタルやソーシャルで広告を出していたブランドだと思います」と語っていた。

しかし、テレビがアドレサブル・リニア広告によってデジタルの領域に進出すると、購入とターゲティングのさまざまな方法が登場した。こうした成果ベースの指標はブランドにとってなじみ深いものであるため「テレビ広告を試してみる」ことを可能にし、その結果として新しい広告主が流入したという。

こうした新規参入企業は、どのチャネルがROIの最大化をもたらすのか知りたいと測定に期待を寄せる。そして、そのためのツールは豊富にある。

ビームズ氏はさらに、「測定が改善してエコシステムに流入する資金が増えるという、投資の好循環が生まれています」と述べた。

検索という概念にとらわれない

さらに重要なのは、キャンペーン最適化のためのAI使用が増加し、測定が改善されたことだ。グーグルは、ブランドがAIツールを用いて効果的な測定を実現するだけでなく、顧客とより深い関係を築き、関連性の高いクリエイティブを大規模に制作することに関するセッションを開催した。

グーグルで毎日行われる検索の15%は、過去25年間でまったく検索されたことのない新しいものだ。これは膨大な量のデータであり、「AIはパーソナライズされた関連性を、想像を絶する規模で実現できる唯一のツール」と、グーグルのリテール担当マネージングディレクターのソフィー・ニアリー氏は説明する。

 「私たちはこれまでもWebからモバイル、さらには音声技術と、テクノロジーの移り変わりを経験してきました。それぞれのシフトによって、人々が検索で実現できることが拡大し、新たな成長につながりました。現在、AIでも同じような変化が起きています。人々は、音声、テキスト、丸で囲むことや手書き、さらにはハミングなど、新しい検索方法をすべて受け入れています。その結果、顧客からの問い合わせはかつてないほど複雑になっています」。

大ヒット作に低予算で挑む

例えばオデオン・シネマズ・グループ(Odeon Cinemas Group UKI)は、AIを使ってキャンペーンの構造を簡素化した結果、コンバージョン率が43%も上昇した。

同グループのシニア・マーケティング・マネージャー、ピッパ・ウォード氏は「パンデミック以降、映画館を取り巻く状況は大きく変化し、ゲストのジャーニーと行動はデジタルファーストへと大きくシフトしました」と語る。

「以前はチケット売上の大半を当日券が占めていましたが、今では映画ファンの半数がオンラインで事前予約しています。ストリーミングの急増や2023年の米俳優によるストライキといった業界の空気感によって、公開作品のマーケティング費は全体的に減少しました。そのため、マーケティングチャネルが最大限に機能するということが重要なのです」。

以前のオデオンの戦略は量を中心に構築したもので、支出を抑えながら多くの人をターゲットにしていた。だが現在は量よりも価値に焦点を当て、AIを活用した合理的な構造になっている。

「グーグルAIのスマート自動入札を使用し、ファーストパーティデータとコンテキストシグナルを統合することで、より価値の高い顧客にリーチし、広範なキーワードターゲティングから脱却しています」とウォード氏。「AIは例えば、仕事帰りに観る映画を探しているのか、それとも週末に家族で出かけるのかといった細かなニュアンスを、大きな規模で理解することができます」。

「人々はAIを非常に恐ろしいもののように見ていますが、耳を傾け、大胆に試してみるべきであることを、私たちの成果は示しています」。

AI導入の優先事項

マーケターにとって、測定が重要であることは自明だ。多くのマーケターにとって、KPIは測定に基づいたものだ。ブランドにとっては、ROIを最大化するチャネルに投資することに尽きる。しかし、どれが最も効果的であるかを、どのようにすれば知ることができるのだろうか?

ミラー氏が言うように、それは「価値向上に役立つ測定フレームワーク」を見つけることであり、何でもかんでも測定することではない。 そして、これに役立つのがAIだ。

ニアリー氏はこう付け加える。 「メディア、測定、クリエイティブの全分野でブランドが優位に立つためのAI搭載ツールが次々と利用可能になり、私たちの仕事は根本的に作り変えられつつあります。2023年がAIが人々の興味をかきたてた年だったとすれば、2024年は実務に落とし込む年です」。 

提供:
Performance Marketing World

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